lovefool

たかなべが、ゲームやそれ以外の関心事を紹介します。

  ラヴフール(www.lovefool.jp) 

パズルのかけら


見慣れない窓から望む月は青白く丸かった。なだらかに浮かび上がる陰影は砂丘のような柔らかな膨らみと、その温度を失ったような色合いを裏切るように熱く指先に吸い付いてくるようで、秋の夜空は悲しいくらいに透明度を増していき、二人はそんな夜の真ん中をそっと手探りで渡って行くのです。確かめるように確かめるように、言わせたくて聞きたくて、君の内側を割って赤くむき出しにしてみたいのです。死の淵にいるような恍惚も、さらけだした醜い弱さも、この夜が明けてしまうまでの青白い魔法の中で、溶かして溶かして混ぜ合って、ごまかさずに全部飲み込めてしまえたら。


切り裂くような朝の光。失ったまま温度と共に消えてしまうコトバとたくさんのちっぽけな約束。川面のきらめきと呑気な鴨達をスカートに鼻先を埋めた君の横顔越しに眺めた。何かを言わなきゃいけなくて、でも口を開いたらプラスチックの下らないがらくたばかりがこぼれてきそうで、こわごわとめくったカードには、お互い揃って「ありがとう」。


ひとりに戻ってものすごいスピードで駆け上がっていく月を眺めていたら、遠くにそっとそれが弾けた。最初は見間違いだと思った。でもその後に続いた。いくつかの花火。音のない花火。それは足りなかったパズルのかけら。なくしたら掛け替えのないもの。