そっと扉を開いた。懐かしい魔法がわっと詰まっていた。ひとつずつ取り出したそれを眺めるだけでやさしい気持ちになれたんだ。
そっと触れてみた。境目が溶けてなくなるくらいに温かかった。時間のない部屋の中で未来でも過去でもないそれを力いっぱい抱きしめた。
そっと霞みだした。強くなる光の裏側で、悲しいくらいに拡がった影を、まだ見えてないだなんてとぼけてはいられなかった。
そっとちぎれそうだ。いつの間にかそれは僕の内側にあって、マイニチを丸くする甘くてやさしいオブラードだった。
ずっとそうしていたいよ。ずっともっとそっとしておきたいよ。溢れる涙は淡い花びらにかえて、君の指の隙間からこぼれる柔らかな日差しで。