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小説「ゴー・ゴー・ガールズ(⇔スウィングアウト・ボーイズ)」平中悠一

もうずいぶん昔の本だね。なつかしい。そもそもは雑誌「オリーブ」の連載から始まったものらしい。で、2年ぐらい書いてだらだらとなし崩しになったいたものを再編し、大幅に書き加えて、ワンパッケージにしたのがこの本「ゴー・ゴー・ガールズ」です。もう典型的な「ボーイ・ミーツ・ガール」ストーリー。


平中悠一の文章というのは、僕にとっては相当いやみでかったるい感じなんだけど、僕が昔初めて書いた長編小説をコイビトに読んでもらったとき、出てきた言葉が「うーん、なんか平中悠一みたい?」だったので、かなり因縁深い感じなんですよ。勝手にライバル心とか燃やしてたりしてね。


今読み直してもそのカタカナ文化の威を借りたというか、「外車、夜遊び、ブランドもの」みたいな前時代的なもてる男像描写みたいな部分にかなり抵抗を感じますけど(実際バブルの終わりだったし)、この長編小説「ゴー・ゴー・ガールズ」に流れている雰囲気はその辺を差し引いてもあり余るものがあるね。


出てくる女の子たちはみんな美人で、そろって主人公に思わせぶりな態度をとるし、主人公の前では女であることを強く主張したがるんだけど、そうした若い時間の勢い余って空回りしている感じとか、翌朝の徒労感&軽い罪悪感みたいなものが、近年まれにみる的確さで描かれている。目の前に溢れるネオンやなんかのきらびやかな世界がほんのひとときの幻でしかないことを、その幻をしょせん幻だよと否定するのではなく、強く肯定して生きるために今日という日があるということをはっきりと感じさせてくれる。


オリーブ少女が当時ここから何を感じていたかはまったくをもってわからないけど、ここにちりばめられた「どこにもないあの夏」の感じは、女の子達よりきっと僕らの琴線に触れると思う。今月幻冬社から文庫版が出たので、暇があればぜひ手にとって欲しいね。夏の終わりのさみしさをかみしめるには充分すぎる一冊になると思う。ちなみに僕の小説とは似てないですよ? いやホントに。