なんか想像してた映画と違った。主人公と家族が、主人公の死を受け入れるために限られた時間をどう前向きに生きたかっていう話だと思ったら、主人公が死ぬことを知っているのは主人公と主治医だけだった。だからみんな昨日と同じように主人公にかかわるし、愚痴をこぼすし、2ヵ月後に主人公が死んでこの世からいなくなるだなんてまったく思ってもいない。だから、そこには常に想いのすれ違いがあって、それを埋めるための長い遺書と、やり残しがない人生の幕の閉じ方、みたいな感じの話だった。自分がいる空間をいかにハッピーなまま、自分がいない空間へ移行するかという話とも言えるので、原題の「My Life Without Me」というのはすごい正しくて、邦題の「死ぬまでに‥」っていうのは、売るためのキャッチコピーみたいなものでテーマではなかった。忍ぶ想いを抱えたまま静かに幕を引くという意味では、意外に演歌的なストーリーだった。物語の運びが女性的なので、ちょっと疲れるところがあって、この調子で2時間かよーとちょっと引き気味だったけど、長い長いエピローグみたいな本編に対し、え？ と思えるくらい潔いエンディングの美しさに「おぉ！」と感嘆の声を上げてしまったので、けっこういい映画だったのかも。このエンディングのためだけにちょっと我慢してもその価値があると思う。68点。
