lovefool

たかなべが、ゲームやそれ以外の関心事を紹介します。

  ラヴフール(www.lovefool.jp) 

【2日目】


朝早く起きてバイキング形式の朝食。僕は朝食を取る習慣がないので、ロールパンと杏仁豆腐と紅茶をがんばって食べた。カナはフツーにフルスペックの朝食。スクランブルエッグとかサラダとかソーセージとか。


今日は西表島に行く日なので、歩いて港に向かった。沖縄旅行の為に度入りのサングラスが欲しかったんだけど買う暇がなかったので、港の売店で釣師のおっさんとかがよくつけてる、眼鏡の上にクリップで止めるへぼいサングラスを1000円で購入。昨日の帽子と併せて怪しさが急激にアップ。カナは運動靴を買った。港にはたくさんのギャルがいて、ある意味イリオモテヤマネコ的な期待感で胸が膨らむ。


酔い止めもばっちり飲んでフェリーが出航。40分で西表島に到着。降りてみるとさっきまであんなにいた露出度の高いギャルがひとりもいなくて、勝手にだまされた気分になる。彼女達はどこに行ったんだろう。他の島かな。


レンタカー屋の場所がわからなくてうろうろする。日差しが石垣島より更に強くてびびる。5分もしないうちにへたりそうになる。レンタカー屋に着くと、おばさんに「迎えに行ったのに、どこにいたの!」と怒られた。


西表島に県道は一本しかない。さっそく星砂のビーチを目指す。もうエアコンなしでは生きられない虚弱な都会人なのだと実感する。


道中、ゲンコツぐらいの固まりが道を横断していて、車を停めて見てみると、椰子蟹だった。すげー、でけー、かっこいい。そういえば昨日はヤンバルクイナが道を横切ったなぁ。


ビーチで水着に着替えて、屋台でシュノーケルと足ひれを借りる。うわー、白い砂、青い海、人もぜんぜんいない、映画「ザ・ビーチ」みたいな空間。ある意味僕もディカプリオ。写真をいっぱい撮る。


息継ぎさえ出来ない僕もシュノーケルという強い味方がいたので、好きなだけ海での泳ぎを堪能。ただし限りなく水死体風ではあったけど。海は水深50センチから1メートルぐらいの、泳げない僕にも安心の深さが100メートル四方広がっていて、水音を立てないように泳いでいると、岩の間から平たい熱帯魚なんかがそっと顔を出したりする。


せっかくなのでカナのビキニをグラビア風に撮影。家族で来ているお父さんが遠くから、明らかに家族じゃない方向(うちら)にビデオカメラを向けているのがわかりました。ま、減るもんじゃないし、いいけど。


正午に近くなり、車に乗って温泉を目指す。抑揚のないどこまでも同じ景色の中で、今どこなのかという看板も出てこないので(一本道だから)、不安になった。


「日本最南端の温泉」というので割かし素朴な温泉をイメージしていたら、割と近代的なお風呂テーマパーク風だった。水着で入る共有風呂部分(テーマパーク風)と、裸で入るいわゆる風呂(体を洗うところ)の2つで構成されている。


水着に着替えて待っていると、色白でビキニ(白地に赤いドット柄)のかわいいギャルに遭遇。カナと二人で「エロい!」「エロ過ぎる!」とか指差しあう。ビキニを着ているのに覚悟がいまいちできていないらしく、下半身をタオルでずっと隠しているのもエロかった。男つきなのに、なんか慣れない距離感も絶妙なエロさだった。僕らはわけのわからない若さのエネルギーを分けてもらいつつ、温泉を後にした。温泉自体の感想は特にない。ただの風呂だったと思う。入れ替わりでラグビー部っぽい泥と汗にまみれた屈強な男達が14人も入ってきたので、一緒にならないでよかったなぁと思った。お湯がにごりそうな勢いだった。


湯上りに近接しているホテルのレストランで食事。僕は特に沖縄料理をたべたい雰囲気じゃなかったので、カレーを頼んだら、古代米と言って色が紫だった。ルーの味はボンカレーっぽかった。カナが頼んだ、ソーキそばは分けてもらう前に平らげられていた。ぬー。


再び車を走らせるも、激しいスコールが降ってきて、疲れと単調なリズムで睡魔に襲われる。2時間ぐらいの間に5回ぐらい居眠り運転しかけてしまった。危ない危ない。


由布島へ渡る牛車があるというので行ってみた。「渡った先には何があんの?」「植物園らしいよ」。沖縄まで来て植物園って言われてもなぁ、別に珍しい植物はあたり一面に生えてるしなぁと思ったので、背中まで泥水に浸かって暑さをしのいでいる水牛だけ眺めて、また車を走らせた。


西表島には牧場が多くて、石垣牛と呼ばれる食肉用の黒い牛がたくさんいる。そういえばホテルのテレビで、レストランでおいしいステーキが食べられるって言ってたなぁと思い出して、夕飯はそれにしよう!と決める。カナの誕生日だし。


西表島では遊覧船に乗って密林の中を行くイメージが勝手にあったので(映画「リリィシュシュのすべて」にも出てきた)、その場所へ行ったら、携帯電話がぶら下げてあって「用がある方は電話してください」って書いてあった。定期便は出ていないらしく、チャーターするには5000円が必要だった。ここまで来て乗らないのもシャクだし、他に見たいものもなかったので乗ることにした。


密林というよりは、マングローブだらけの泥色の川を船で移動するだけのものだった。たしかに変な植物だとは思うけど、別にお金を払ってみるほども物でもない。ひとつだけ為になったのは「マングローブ」ってのは特定の植物の名前じゃなくて、海水と淡水が入り混じるところに生える植物の総称だって知れたことだ。川には他のサービス会社がやってるっぽいカヌーを借りている人たちもいたけど、あの直射日光の中ではぜんぜんうらやましくなかった。むしろ罰ゲームっぽい。


目的地として根っこの形が帯状になっている大木があった。自力ではなく船のエンジンで楽してここまで来たので、特に感慨はなかった。帰りの船ではホタテよりもでかい貝殻を見せられた。この川で取れるしじみだそうだ。味噌汁のお椀に入れたら、汁を入れる場所がなくなる感じ。浴槽と小錦のような関係だ。


船を下りると再び激しいスコール。眠気が最高潮。ガムとか音楽とか刺激物が欲しいけど、お店らしいものは一軒もないのでどうしようもない。歌を歌うなどで気力をつなぎ、何とかスタート地点へ。


車を返して、ロッジのような場所でかき氷を頼んだ。犬が2匹とオウムがいて、貸し出し用の釣竿やカヌーがいっぱい立てかけられていた。眠さに負けてテーブルの上で15分ダウン。


帰りのフェリーが来るころ、海に大きな虹が掛かった。根元まで200メートルもない至近距離での太くて大きな虹だった。


ホテルに帰って休んだ後、ステーキを食べに行った。誰も客がいなかった。「今日、誕生日なんだけど何かこう、お祝いになりそうなものありますか?」と聞いたら「前の日までにフロントに言ってくれれば、サービスできたんですが‥」と残念そうに言われる。「いや、サービスして欲しいってわけじゃなくて、ケーキとかロウソクとかそういうメニューがありますかって意味なんですけど」と聞きなおしたんだけど、やっぱりアドリブはきかないようでした。残念。


シェフが目の前の鉄板で野菜やらなんやらいろんなものを焼いてくれた。やっとのことで170gのステーキが登場したときにはすでにお腹がいっぱいになってしまっていた。がんばってほおばったら僕のステーキがえらい筋張っていて泣きそうになった。カナのミディアムレアで焼いたほうを分けてもらったら、そっちはふんわりとやわらかくおいしい出来だった。僕にはあんまりステーキを味わう感覚器がないんだろうなと思った。食後のデザートにドラゴンフルーツが出た。さっぱりしていておいしかった、熱いコーヒーを飲んでレストランを出た。


大浴場は今日も貸切だった。体の疲れが末端まで広がるのがよくわかった。泥のように眠った。