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たかなべが、ゲームやそれ以外の関心事を紹介します。

  ラヴフール(www.lovefool.jp) 

甘ちゃん


うでっちから電話が掛かって来て、体感ゲーム機のデザインをしていた頃の先輩たちと飲んだ。親しい仲で飲むのは気兼ねがなくて楽しかった。ゲームの未来や僕らの将来のことを語り合った。


ゲームがイキイキしていた頃の時代って、まだそれが大きなビジネスになるかどうかわからなかった。でもどうしてもそれを作りたいって人たちが、利益なんか関係なく、作りたいものを作りたいように(ちゃんと)作ったものが、フツーの人の「目新しさ」にちゃんとリンクしていた。だからどのゲームも新鮮だったし、画期的だったし、個性的だった。ハードの性能がしょぼくて、結果的にアイディアでしか差別化できなかったということもある。でもみんなゲームがどんなものか知りたかったし、ゲームに飢えていた。


今は違うもんね。ゲームはたくさんある娯楽のひとつのジャンルでしかない。ゲーム機の性能は段違いに上がって、どんどんゲームの規模が必要以上に大きくなって、それを支える会社や会社員の生活を支えるために、ある期日までにほとんど義務として満たさなくちゃいけない仕様や売上げが大前提としてあるもんね。作業も細かすぎるぐらいに分業化して、2年も3年もおんなじ作業を繰り返して、ゲーム全体のイメージをちゃんと把握して作業に熱を入れている人がどれくらいいるのかよくわかんない。そしてそんな義務感で作ったもの、作業として作らなくちゃいけなかったものって、なかなかみんなの心に届かない。運良くうまくいっても、今度は続編地獄。前作の倍のお客さんを呼んできなさいっていうところから話が始まったりするのね。システムを変えようとしたら怒られたりなんかして、いつまでたっても「やりたいこと」に辿り着けない。さみしい。時たま、自分の趣味と会社の利益を上手にリンクさせている人を見かけるけど、そういう人の周りはやっぱり温度が高い。結局、いい仕事って言うのは人と人がつむぐ熱量の話なんだ。


熱って言うのは共有する人数が増えるほど誤解が生まれたり届きにくくなるので、一人じゃ作れないものは目的を細分化して作業を手伝ってもらうしかなくなってしまう。その細分化の際に熱が逃げていってしまうことが多い。信じて前に進んでいる人と、義務感で前に進まされている人の違いだと思う。毎月50本とか100本近いゲームが発売されている。どう考えたって「必要」な量を超えてる。お腹いっぱい。すでにお腹いっぱいの人に「これは他と違って新しい口当たりのゲームです」って言っても届かない。他の楽しいことがしたくなって当然だと思う。なのに、今度のハンバーグにはライスにドリンクやサラダやデザートもついてますとかゆってる。そのライスやドリンクやサラダやデザートを作るために人をどんどん雇ったりしている。でもライスやドリンクやサラダやデザートがついてるからハンバーグが昨日より高くても売れるかっていうとそうじゃないのは誰にでもわかること。そんなの食べたら、半年はもう食べなくていいやって気持ちになることだってわかるはず。どんなおいしいものを作るかも大事だけど、食べたい人がいないものをどんどん豪華に作っても仕方ないし、みんなに楽しく食べてもらうためのゲームでありたいなと僕は思います。


人と人との出会いや繋がりは、会社に依存しない。でも制限はされる。一日24時間のうち、3分の1とか半分近く会社にいるわけだから、自分が出会いたい種類の人がいる場所に近いところに勤めたり、自分でその相手を捜し歩けるだけの環境を整えたほうが良さそう。そう考えると、作業の中で会社の慣例として付き合っていく業者なんかとはなかなか自分の将来につながっていくような有機的なお付き合いにはなりにくいね。付き合いを損得勘定で考えるのはもったいないことだけど、お互いがお互いために必要になってくる関係、与えたり与えられたりをお互いにすごく循環させる関係というのを、どんどん築いていければ、結果的にみんながみんな幸せな世の中になるはずと、僕なんかは本気で思います。甘いですかね。需要と供給の量が同じはずがないじゃんって言われたら、正論だけど、つまんないこと言う人だなぁと唇を尖らせてみたい感じ。甘くてもいいじゃん。信じてるほうが楽しいもの。


うでっちと帰りの電車に乗りながら、変な広告を発見。「バードウォッチング検定」。ちょっと待って? バードウォッチングって誰かに段位を許されたり、誰かと技術を競ったりするものなのか? 「家事手伝い検定」とか「音楽鑑賞検定」とか「テレビリモコン操作検定」って言われるくらい微妙。もう、文字列としておもしろくて最高すぎだと思った。失業率の高いこの時代に履歴書のためにぜひ押えておきたい資格のひとつ。

CD「ファミコンミュージック」を買った。僕が子供の頃リアルタイムで遊んだ任天堂ゲーム音楽がたくさん入っている。ものすごくハッピーだ。僕のiPodに入っている900曲以上の音楽のうち、100曲近くはゲーム関連の音楽を入れてるんだよね。ゲーム中一回しか聞けないかもしれないゲーム音楽っていうのは、すごくキャッチーなメロディやリズムをコンパクトに聞かせてくれるので好きです。映像で言えば映画やドラマに対してCMのような密度っつうかね。ミニマムに要点をてんこ盛りしてる。点心に似てる? 初めて聞く人の気持ちにまで最短、何秒で届くかってそういう知恵ややさしさがたくさん詰まっている気がしますね。


ファミ通キューブという雑誌を会社で読んだ。一口裏技メモのようなものがあって、どれどれと思って見ていたら、「Zボタンをバリバリ押す」「キノピオの頭をバリバリサーチ!」とかって書いてあって違和感。バリバリ押す姿やバリバリサーチする姿が思い描けなかった。きっとライダースを着てフランスパンみたいなリーゼントをしたバリバリロケンローな方が記事を書いているのでしょう。間違いないな。