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たかなべが、ゲームやそれ以外の関心事を紹介します。

  ラヴフール(www.lovefool.jp) 

オーバー・ザ・茂


携帯をなくして誰とも連絡がつかなかったたかなべです。電話帳の写しがどこにもないっていうのはすんごいまずいね。


でもって、土曜日にマッキに連れてってもらったあらゆる場所に電話を入れて、今日初めて家に遊びに来てもらう約束のけいちにメールして、想像が付くことを全部やっておいたんだけど、全然不安で。とりあえず美容院に行きました。初めて行く美容院というか、美容院自体が僕はすごく苦手で、なんであんなにみんなこ洒落た風味で、何10分も待ったり、実用価値のないファッション誌やサブカル雑誌を読まされたり、こっちが敬語なのに思いっきりタメ口で返してくるくせに話題を一向に弾ませない美容師に閉口しながら、何でか聞かれるままにプライバシーを駄々漏れにしてみたり。そしたら、電話がマッキの車の中にあったことがわかったと電話があって一安心。けいちとも連絡を取ることが出来て、よかったよかった。


土鍋とコンロを買って、mafの家で習ったピェンローという鍋を作った。外は秋の木枯らし、みんなで熱々の鍋を囲んでおいしかった。残り汁を雑炊にしてもらった。お腹いっぱいになった。けいちはスーパーカーのデビュー前のプロモーションディスクを持ってきてくれた。「クリームソーダ」「コンフューシング・ユー?」「ドライブ」「プラネット」の4曲入りで、アルバムとは全部アレンジが違う。ピコピコ音や思い付き音響ギミックを始め、アルバムでは最終的に削られた若げの行ったり来たり部分が華やかに色づいています。ものすごくいろんな取捨選択の末にあのアルバムの素朴さ(シンプルに楽曲と楽器を活かす)が出たんだなぁと思うと、やっぱりクリエイトは最後の最後の調整に死ぬほど気合いを入れたいゲーム屋さんの僕も大共感の気持ちでいっぱいです。そして「プラネット」の副題についていた「The End of childhood」っていうのも、なくなって大正解すぎ!と思った。かっこわりいもん。


ゲームに免疫のないけいちに、これでもかという位のゲーム爆弾を投下。「パラッパラッパー2」]「ルイージマンション」「トゥルーラブストーリー」「DEPTH」「ワイプアウトXL」「ピクミン」「スーパーモンキーボール」。特に「トゥルーラブストーリー」(1)を熱く推したのに全然分かってもらえず、冷たい顔をされる。あとゲームキューブ本体をいたく気に入っていました。小さい、かわいいとおっしゃってました。「ルイージマンション」は操作が難しすぎてお化けを吸い込めずに敗退、一番反応がよかったのは「ピクミン」だけど、これでもかってぐらいに僕には記号的に見える「触って欲しい」ってデザインのアイテムをガンガン無視して(目に入っていなくて)ただ歩いているだけというその様はなんだかすごいショックでした。注意や関心を引いてもらうためのデザインを仕事にしていたデザイナーの僕からすると「何をどんなにやっても届かない人はいる」という当たり前の真理をまざまざと見せつけられた感じ。あの宮本茂だって、けいちには適わないんだもん。なんかけいちをムチュウにさせるゲームを作ることを小さな目標にしてみてもいいかもとちょっとだけ思った。僕が宮本茂を超えるための努力をする上でひとつの具体的なゲージとして。


けいちと遊んでいる最中、宅急便が届いた。ナタリーからだった。品名には「鳩サブレー」とある。開けると確かに鳩サブレーの紙箱が出てきた。箱の中からは赤い素敵な毛糸の靴下とゴンチャロフのチョコレートが出てきた。毛糸の靴下をさっそく履いた。ぽかぽか。足下が温かくなるととたんに眠くなってしまった。これで3人ともお揃いの靴下だ。


翌朝、マッキが講師をやっている美術学校に、僕が忘れた電話を取りに行った。早朝のキャンパスはすがすがしい空気と日差しの中にあって、僕が美大生だった頃の、片手にポートフォリオ、片手にステッカーを貼った絵の具入れ、毛糸の帽子、コーデュロイのパンツ、シルバーのアクセサリー、みたいな感じは、6年経った今でも全然変わっていなくて、異常なまでのその懐かしさ(自分の学校じゃないのに)に、なんだかニマニマしてしまったよ。電話を持って現れたマッキは僕の仕事を手伝ってくれた時より、生き生きとして、なんだか頼り甲斐がありそうに見えた。生徒に話し掛けられて、何気なく返す言葉とか、笑顔とか。「センセ」って呼ばれた時の自然さとかね。ちょっと生徒になってもいいかも、放課後、特別な個人指導を受けたいかも、っていうか先生にならあげてもいいかも、って思ったね。貧乏なので学費は払えませんが。