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たかなべが、ゲームやそれ以外の関心事を紹介します。

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映画「恋はデジャブ」

ビデオで「恋はデジャブ」を観た。ビルマーレー(ゴーストバスターズで減らず口をたたく人)が主演と聞いた時点で評価20点アップ!って感じなのに、これが異常なほどの傑作だった。主人公はローカルテレビ局のレポーターの役で、聖人祭をレポートに行くんだけど、何故かその一日を何度も繰り返して迎えてしまうという災難から始まるコメディ映画だ。そういう設定を聞いただけなら、ふーん、良くある話じゃんとは思うけれども、その繰り替えしっぷりが尋常じゃない。2度や3度繰り返すだけならフツーじゃんって感じなのに、もう何をしても抜け出せない。自殺しても絶対に同じ朝を迎える。もう半年間ぐらい同じ朝を迎えちゃって、その日に起こるその街の出来事をもう完璧に把握しちゃうまで発展する。たぶん「ジョジョの奇妙な冒険」の第4部で、物語の核心の部分になっている時間を巻き戻すスタンド「アナザーワン・バイツァダスト」もこの映画をベースに考えられたんじゃないかと思う。その過剰な繰り返しの中で、ローカル局のレポーターとしてすねていた主人公の成長っぷりというのが描かれるんだけど、そこに至るまでの恋心を寄せている女性プロデューサーを毎晩口説いてはやっぱり振られたり、可能な限りの悪事を働いてもやっぱり巻き戻る朝にぐったりしたりという描写が何とも人間らしくて共感できる。星新一ショートショートのような設定なのに、文字や台詞による説明もなく、むしろ画期的でスタイリッシュとさえ思える絶妙な省略をテンポ良くはさんで、2時間という時間に詰め込める映像の可能性というのを知らしめてくれる。映画という入れ物は2時間ってなんとなくお決まりっぽくとらえがちだけど、2時間という時間の必然性や2時間でしかできないことの価値をはっきりと感じさせてくれる、そういうすごい映画だった。この監督はゴーストバスターズビルマーレーとともにお化け退治をした鼻の大きな眼鏡の人で、のちに映画「悪いことしましょ!」を制作した。90点。