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たかなべが、ゲームやそれ以外の関心事を紹介します。

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ピーク値

takanabe2001-07-30



千と千尋の神隠しの時間」を待つ間、同じビルの本屋で鉄コン筋クリートの「シロ」と「クロ」の人形を買った。他にも手の平サイズのものや1万円以上するもっと豪華ででかいやつがあった。作りはへぼいんだけど、顔にちゃんと松本大洋の絵の感じが残っている。人形とか嫌いな方なのにその顔を見るたびになんか呼ばれている気がするのだった。関節が曲がるようになっているのでいろいろポーズが取れそうなそぶりを見せていたのに、全然ポーズなんか取れなくて、下手すると関節がすぐに壊れてしまいそうなくらいの華奢さ。ビルから飛び降りたりするあのキャラクターとは思えないけど、家のテレビに腰掛けさせたら、なんだか屋上で二人がこそこそ何かをしゃべっているみたいでちょっと気に入った。


昨日はお料理教室第2段で「肉野菜炒め」「大根の味噌汁」「オクラの茹でた奴」の作り方を教わった。作りながら想像していた味とは全然違ったものが出来て、圧倒的に不満の残った。普段、自分がいかにおいしいものを食べさせてもらっていたか(両親やコイビトやトモダチの家などで)、または味覚のストライクゾーンがいかにピンポイントで狭いものなのかがちょっとだけわかった。大好物のオクラに至っては昨日買って冷蔵庫に入れておいたのに半分ぐらい腐っていた。腐ったものを見るとちょっとへこむ。なんだか料理以前の問題という気もする。


仕事が一段落したので、打ち上げがあった。一緒に制作していただいた会社の人たちを呼んで池袋で飲んだ。「今までで一番ピーク値の高い3ヶ月でした」「ゲーム業界のスケジュールもすごいと思うけど携帯電話業界の洗礼を受けた」(最後の二ヶ月は休みなし)「ゲーム機と電話機、どっちから理想の通信ゲーム端末を作れるのか、まだ分からない」みたいな、苦労話、制作秘話、まじめな話しから、「電波を圏外の状態をテストしたくて、ビニールにくるんで水につけたら効果テキメンで感動したんだけど、引き上げてみたらビニールに穴が空いていて2台しかない電話機の1台を濡らしてしまった」「2時間自転車を漕いで福岡のゲームセンターにスターブレードを遊びに行っていた」「銀行に就職が決まっていたのに、気が付くとゲーム会社にいました」「落語家に入門していたのに、朝起きられなくて破門になりました」みたいな意外な話しまで、笑いっぱなしの2時間半だった。僕らが話さなくても、ずーっと「次はもっとこうしたい」「もっとこうなっていけばいいものができるのに」「初めてのものは苦労も多いけど、得るものも大きい」という前向きな話しばかりが続くので、本当にゲームを愛している人たちなんだなぁと思った。僕の周りだけなのかも知れないけど、僕の会社にはこんなに目をキラキラさせてゲーム作りのことを話してくれる人はいないような気がした。つーかそう言う人に会ったことがない。でも一緒にプロジェクトを手伝ってくれた課長二人が当時画期的と言われたポリゴンレースゲームを作った一番コアの人たちだったことを昨日知って、その思い出を話す時の目のキラキラはステキだと思った。「16進法の方眼紙を印刷させたんだよ」「コースは全部プログラムで生成してるんだよ」「僕がコースの座標を手で全部打ったんだよ」、何となくしか意味は分かんないんだけど、すごい手触りのモノヅクリの心意気を感じてきゃあきゃあ言ってしまった。欲しいモノがハッキリしているのに(共有できているのに)、それを実現させる為の手段がないって時が、一番工夫が生まれやすい瞬間と言うかクリエイティブなのかなと思った。最近は「そのハードで出来ないこと」を前提に仕様を決めたりするので最初から大きな難問を回避しているあたりにイマイチ張り合いがないんだそうな。なるほどなぁ。恋は障害があった方が盛り上がるもんなぁ。