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たかなべが、ゲームやそれ以外の関心事を紹介します。

  ラヴフール(www.lovefool.jp) 

舵を取る


泣いたり笑ったりをこれでもかってくらいの振幅でワープしてた数日間は、終わってみればなんだか短い人生のようでもあり、人生は長い短いという尺度じゃなく、今日(現在)の繰り返し以上のナニモノでもないのだな、と降り始めた霧雨の中で思った。瞬間の断片が並んで見えるだけで、積み重ねるものでもないし、かなり非線形なんだなぁ。瞬間を生きていく身のこなしを学ぶ為に経験を積んでるんだなぁ。肉体があるんだなぁ。先読みをするんだなぁ。


今まで自分にとってどうでもよかったはずのことや、できれば一生無視したかった義務やら権利やら承認やらつじつま合わせや金勘定を、遊びと現実の絶妙な狭間で転がしていく。言い訳はしない。自分が信じることをちゃんと伝える。丁寧に伝える。僕は自分の五感しかリアルに感じることが出来ないし、自分が進んでいる方向を出口だと信じたいだけ。それを客観性の名において止めないで。躊躇させないで。ホントっぽく塗り固めた体裁でぞっとするようなしがらみを覆い被せないで。例えすべてが間違っていても、自分の五感で感じて判断したいのです。


朝方、鍵を空けたその部屋には「未来の生活」がひっそりと体を丸めて寝息を立てていた。みんなにはありふれた生き物なのかも知れないけど、僕にとっては大きくてまだ見たことないケモノだ、でもきっと僕の味方。めちゃくちゃ近い将来ちゃんとそいつを起こしに来る日を想い、物音を立てないようにしてそっとドアを閉めたよ。ドアの隙間に朝の光が細くなって消えた。ケモノが寝返りを打った気がした。表札にはまだ誰の名前もない白いプラスチック。朝の光、畳の匂い、鳥の声。帰り道の足取りは軽くもなければ、重くもなかった。浮ついてもいなかったし、悲観的でもなかった。夜の岸に浮かべた小さな船、僕はそっとその舵を取る。真ん中へゆっくり漕ぎ出していく。