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たかなべが、ゲームやそれ以外の関心事を紹介します。

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ハムトン


岐阜にキャンプに行ったあんぱんまん主任の話。買い出しに行ったコンビニでこんな商品が目に付きました。


「あの懐かしの味 明宝ハムトン」


その先にあるのはどう見てもフツーのソーセージです。しかも何故か1本300円と高価。冒険を誘うきっかけとしては絶妙な値段です。声に出してみると分かりますが、まず「ハムトン」という響きが魅力的(ぶうこ的)。自然にこみ上げる笑いもさることながら、そのでかいPOPに反して、商品自体には一切「ハムトン」の文字がないところもミステリアス。初対面にして「あの懐かしい」と過去に振り返らせる売り文句も気になります。もちろんあんぱんまん主任は「ハムトン」を買ったのです。さっそく皮をむいてかぶりつきました。「‥うまい!」。魚肉ソーセージとは一線を画す歯ごたえは何となく本格派を思わせます。予想外のうまさに他のメンバーにも食べさせるも反応はイマイチ。「そんなはずない、こんなにおいしいのに」。


しかし「ハムトン」って一体何者? 300円に秘められた数々の謎を解き明かしたくなった私たち科学捜査班は、その日を境に調査に乗り出しました。そしてその長年の調査結果を今回ここに発表したいと思います。



【「ハムトン」という動物】
「ハムトン」とは原材料になっている動物の名前でした。ハムトンは岐阜の山に住み、成体は2メートルを越す大型のほ乳類です。全身を長い金色の毛に覆われ、豚に似た鼻を持ち、下顎から頭を越す牙を2本生やしています。ハムトンはその巨大な体と牙で肉食と誤解されがちですが、木の樹液を吸って生活しています。牙の先には穴が空いており、突き刺した木からストローのように樹液を吸い出すことができます。2本ある牙の一方は吸うために、もう一方は木の中に空気を送り込んで樹液を吸いやすくするために使われています。子供の頃の毛は黒く、昆虫を主に食べています。普段は2本足で歩き、腰のあたりをぼりぼり掻くのが癖す。強敵に会ったときは4本足で逃げます。


【製品「ハムトン」の成分】
製品「ハムトン」は動物のハムトンの肉を加工したものではありません。ソーセージに似た包装から、肉加工製品と思われがちですが、動物ハムトンの手の平から出る分泌物が製品「ハムトン」の主な成分です。6本の指を生やした手の平には肉球が合ったと思われる窪みがあり、そこから半固形物である「ハムトン」の原料を分泌します。


【「ハムトン」の発見と製品「ハムトン」の誕生】
動物のハムトンの発見と製品のハムトンの誕生のきっかけは同時に起こりました。江戸時代、山菜取りに山に入った老婆が遭難しました。霧が深く立ちこめ、空は木々に覆われ昼なのか夜なのかも分からず、どこへ向かっても山を下ることが出来ません。体は衰弱し、意識が朦朧としてきました。その時、熊を思わせる大きなケモノが現れ、老婆に向かってその腕を振り下ろしました。襲われる!と身を固くするとその大きな手は老婆の頭をつかみ、恐怖で開いたままの口に大量の分泌物を分泌しました。あまりの出来事に混乱した老婆ですが、口に入ってくる半固形物はもう何日も食べていない温かな食事を思い出させました。ケモノは去り、衰弱しきっていた老婆は途端に元気になった自分に気がつきました。何という栄養価の高さでしょう。老婆はスキップをするように山を下山し、ケモノの存在を村人に広めました。これがハムトンの発見と製品ハムトンの誕生の直接のきっかけだったと言われています。


【「ハムトン」の分泌物】
野生動物の手の平から出る半固形の分泌物ということで、汚らしいものを想像している方もいるかと思います。しかし分泌物と製品のイメージは著しく異なります。製品のハムトンは茶色に近い暗い色をしていますが、それは外気に触れて酸化してしまったあとの状態です。分泌されている時にはとても爽やかな色をしており、ミントグリーン、ホワイト、ピンクの3層から成っています。外気に触れた途端、酸素に反応し、みるみる色を失い、黒っぽく硬化していきます。大半の栄養素(78%)はそこで失われてしまいますが、今日の科学では酸化前の状態の分泌物を製品化することはむずかしいと言われています。


【製品「ハムトン」の製造法】
野生のハムトンの手の平から直接採取します。製造効率の悪さが製品の価格に響いています。ハムトンが養殖されないのはその巨体に見合うだけの新鮮な樹液を提供し続けることが出来ないことと、野生とは言えハムトンは分泌物の提供に昔から人間に協力的である点が挙げられます。コミュニケーションには「ハム笛」が用いられます。6本の竹を籐のひもで編んだ笛はハムトンが仲間同士で呼び合う声によく似た音を出します。その笛を投げるとハムトンがやってきます。一階の採取で取れる分泌物の量は数キログラムです。しかし全国のハムトン消費量の半月分に相当します。江戸時代には熊笹の葉で包まれて売られたハムトンですが、空気に触れる面積が多いために痛みが激しかったようです。今日ではソーセージと同じビニールで酸素を遮断することで、冷蔵で1ヶ月の保存が可能になりました。全盛期は長ハムトン、中ハムトン、短ハムトンとサイズにより3種類の製品がありましたが、収穫量が年々減っていることから、現在では短ハムトンのサイズが「ハムトン」と呼ばれています。


【「ハムトン」の危機】
そんなハムトンも自然破壊の中で種の存続の危機にさらされています。木々の伐採や酸性雨の影響により個体数は既に50頭を割ったという報告もあります。人工授精なども検討された時期もありますが、ハムトンの種の保存については未知の部分が多く、未だに雄と雌の区別さえ分かっていません。


という話しを「つぼ八」でしました。