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たかなべが、ゲームやそれ以外の関心事を紹介します。

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セガの話


今日はセガのニュースで一日大騒ぎだった。話がわかりにくくなりそうなのでちょっと整理します。ニュースは3つのフェイズに分かれていたように思う。


1)時事通信がプレステ2、ゲームボーイアドバンスなどの他社ハードにソフトを供給することを決定したと報道。
2)日経を始めとする有名新聞社(ほとんど)がドリームキャストの製造を今年の3月で中止すると報道。
3)セガが製造中止を否定、他機種に供給については現在交渉中と正式発表。


これが僕が知る限りでの客観的な大きな流れです。ところがテレビやなんかの扱いは全然違ってました。プレイステーションの人気に押されてドリームキャストはもうなくなる。セガドリームキャストを見放してプレイステーションを始めとする他機種に移行する。日本のゲーム市場はこれからソニー任天堂だけの争いになるようなニュアンスで報道されていました。セガが公式発表をウェブに掲載してもう半日近く経っているのに、その事には全然触れないで、街の声の代表という意味合いなのか「えー? プレステの方が面白いゲームがたくさんあるしー」なんていうギャル風の女の子のインタビューとか流す始末。ひどいと思う。


公式発表の内容の曖昧さがまた話しをこじらせる。「現時点で正式に機関決定されたものではありません」だなんて、発表してないだけでそうは思ってますって受け取る以外ないだろうっていう変な言い回し。他機種のことについたって交渉中のことを公式発表しちゃうなんていう取引先は、会社として信用したくない気がする。「ファンタシースターオンライン」なんていう他のハードじゃまだ達成してない新境地を開いたソフトをやっと発売できたこのタイミングで、どうして内部リークとしか思えない噂が流れ、それが憶測の内に尾ひれが付いて全国に「ニュース」として報道され、株価をストップ高(ハードは赤字だからソフトだけになった方が儲かるよという予測から)にまで動かしてしまうんだろう。もしこれが自分の会社の出来事だったら、もう何も信じられなくなってしまいそうだ。「なんとなくこっちのほうが面白そう」とかその程度のムードで大きく動いているゲーム市場が「だからやっぱりプレステだったんじゃん」みたいな受け止められ方で収束していくんだったら、それは僕にとっては全然喜ばしい事じゃないな。


確かに遊ぶ身になってみれば、セガのハードが欲しいわけではなく、セガのソフトを遊ぶために仕方なく買うものがハードで、どうせならその機械の数は少ない方がいいじゃんっていう理屈はよく分かる。でも、僕はここで一昨年のことを思い出す。それはプレステ2のチップの発表会で、久多良木社長が示したゲームマーケットのロードマップだ。テレビゲームというビジネスが「おもちゃ市場」→「テレビゲーム市場」→「デジタルエンターテインメント市場」と拡大していくに従って、より高度により大きなマーケットに進化していくというグラフだった。それをプレステ2、プレステ3という端末でもってソニーはその基盤を作っていくんだよという話しだった。


正しいと思う。そしてそのための必要なものを自前で用意できてすごいと思う。任天堂セガもハードの中身に入っているのはいろんなコンピューターの部品に使われているものの寄せ集めや切り貼りでできているから。でもそれってつまり才能やセンスまで結局資本の元にしか集まらないという意味と一緒かと思うと、やるせない気持ちでいっぱいなのだ。ロクヨンDDでいくら「巨人のドシン」がすばらしいって言ったって、ほとんど誰にも届かないのでせっかく詰め込んだ汗がきらめかないよりは、多少のアイディアが削られたってより多くの人に届くメディアに載せる方がいいものだってあるんだろうって気もする。単純に商売だしさ。でも声を届かせるための手段が資本によって狭まれていくのを、ざまあみろみたいな視線でせせら笑ってるような人たちを見るのは忍びないな。