lovefool

たかなべが、ゲームやそれ以外の関心事を紹介します。

  ラヴフール(www.lovefool.jp) 

世界を敵に回しても


ホンダのロボの中身って、えなりかずきなんでしょ?


えーと、入社当時に社内報に書いた自己紹介コピーは「幸せのカタチを考える」でした。僕は入社当時、工業デザイナーで配属だったので「製品のカタチを考えるのが仕事だけど、生きていく上で自分の幸せの在り方をずっと考えていくし、誰かを幸せにできるようなカタチを作っていきたいよって意味でした。不朽の名コピーです。「ラヴフール」というここの名前同様、ライフワークというか僕自身のテーマだな、と思います。なーんて書き出しからも分かるように、今日は泣き言を言う回なのでした。「考える」ばっかで、それが全然実現できてないつうかね。大事にしたいことが10個あったら、リスト第1位だけを必ず逃すっつうかね。涙も枯れるっつうかね。ここ何日かうんうんうなっていたら、顔からすっかり表情が消えましたね。子供のようなで心臓をうしろからいつも掴まれているような変な息苦しさがあって、むせてばっかりです。さすがに今日は会社休んでやろうかとも思ったけど、自分が無理矢理設定した大事な会議があって、行かざるを得ないのでした。ま、それはいいとして。枕を抱きしめてじたばたしながら、頭の上でちっちゃいオレが「おいおいこんなモラトリアル、30才になっても続けてくんじゃないだろうな?」って確認しかけて、また怖くなって。古谷実の漫画の登場人物達が全然笑えないリアリティで迫ってきます。間違いなく変わらないだろうって確信してるから。


ごっちゃにして考えるには、先人達にもこれからデザインを学んでいこうという人たちにも失礼なんだけれども、人間工学的な使いやすさや合理性を重視する工業デザインというのは、それを重視するあまりにユーザー不在のやさしさへ到達してしまうことがある。例えば、公園のベンチに乞食や酔っぱらいが寝てしまったら景観が悪くなる→座れても横にはなれないように、座面にいくつかついたてを立てよう→でもカップルが座ったら間にあるこのついたては邪魔、とか、複雑なゲームシステムをシェイプすることを怠って積み重なった操作の難しさを、コンフィグモードを付けてユーザーに投げ出しちゃうとかね。ある側面でだけ物事を捉えてしまって話しをいびつにしたり、考えることを放棄して押しつけがましくないのがやさしさとか平気で思ってんのね。でもそれはデザイナーの仕事じゃなくても、日常ありふれている危険だと思う。何か突飛なアイディアが浮かんだら、その画期さはもちろんだけど、何故それが今までの歴史に現れなかったのか考える。長い時間の中で淘汰された形跡がないか、アイディア自体に無理がないか、おんなじことばかりに固執してないか。でも、それが自分の生活や、幸せに関することだと途端に判断力が鈍ります。右も左も分からないぐらいに。


とにかく今は2位から10位までは切り捨ててでも1位だけは抱えてどこまでも逃げ切りたい、そんな心境です。世界を敵に回しても。