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たかなべが、ゲームやそれ以外の関心事を紹介します。

  ラヴフール(www.lovefool.jp) 

「哀しみが止まらない」の巻


ダイエーのオレンジ色のマークは「現状に満足することなく、常に前進し続けることを意味する、欠けた円」なんだそうですよ。びっくり。


新宿を歩いていたら黒塗りの車がそばに停まったので何気に目をやると、クラブ・ニュー愛の零二が出てきました。前髪から爪先まで1・も隙がなくて、プロってやっぱすげえなと思った。


早起きしたも報われず、ぶらり途中下車の旅鈴木みその「おとなのしくみ」1巻を買って、寂れた喫茶店でエビピラフセットなんか食べて過ごす。そのあと家に帰って昼寝をしたら変な夢を見た。秋葉原みたいなところを荷物を抱えて歩いていると、そんなに混雑しているわけでもないのに外国人がぶつかってくる。まさかと思って追いかけるとばっちり僕の荷物を一つ持ってるじゃん。ぶんなぐって奪い返す。ノーノーノーと言いながらおびえたような目をしたので、それ以上は抑えてみる。でも許したあとをそっとついてくとポケットから取り出して話し始めようとしている電話はまたオレのじゃん! もう一回後頭部に鞄でぶんなぐって奪い返す。殺すぞ、まじで! そうやって一通り元に戻ったんだけど、50メートルも歩かない内に次のスリがやってくる→すぐばれる→ぶんなぐって取り返す、というのを繰り返した。夢なのにすんげえ疲れた。


NTTの独壇場になっている現在の通信インフラだけども、かなりステキなニュース。東京電力が通信事業者に光ファイバー網を全面開放だそうですよ。将来は空気のような「あって当たり前、なかったら死んじゃうかも」っていう存在になりそうな高速通信インフラの大本命としては、なるべく意味のある商売敵がいて、あおってくれないとね。ラヴフールとしては東京電力、超リコメンド。何から何まで電源入れまくって電気使いまくろう。


さて池袋のHMV松崎ナオのインストアライブの件ですね。行く前に本屋で「音楽と人」を眺めたらモノクロページにインタビューが載っていてニューシングル「月と細胞」のタイトルについて聞かれていました。その内容がすごいんだけど「月って自分では輝けないじゃないですかぁ、ナオさんはひょっとして太陽を待ってるんじゃないかなって思ったんですよ」だって。おいー! それなんて言う返事を期待してした質問なんだよ! ひどいね。っていうそういう前振りがあったわけです。時間ギリギリにHMVに辿り着くと、本棚で区切った特設ブースにいたのは40人程度。いつも見かけるような顔もちらほら。程なくしてナオちゃん登場、前のシングル「雨待ち人模様」を唄います。演奏はギターとパーカッションという、最近お気に入りの編成。


選曲リスト:


・「雨待ち人模様」
・「くやしい海」
・「電球」
・「How to be a Sun(倍速アレンジ)」
・「月と細胞」
・「哀しみが止まらない」


の全6曲、30分。


大変音が悪く、バックの二人も演奏しづらそうだった。ナオちゃんは一年前に会ったときに比べて、痩せたのか、目が大きく見えて、心なしかおどおどしている感じ。アレンジもいつものように全て新バージョンになっていて、唄もレコードに劣らないいつものうまさだけど、何か違う。いつものナオちゃんと決定的に違うんだ。光がなかった。話すのが苦手で唄を始めたというナオちゃんは、痛み系ミュージシャンの先駆者でありながら、単に「痛み」を発するだけじゃないやさしさを、曲にも詞の中にも内包していて、そのバランスと理性が、ナオちゃんのすばらしさだと思っていた。でもその日にステージに立っていたナオちゃんは別人だった。全身から「痛い」を発散していたのだ。演奏が終わるたびに観客からは拍手が起こる。でもそこにある拍手は今までのように「すごい!」「ステキ!」「もっと聴かせて!」っていう明るいものじゃなかった。静寂が痛い、拍手をしないと息が詰まってしまいそうな、そんな曲間だったんだ。僕はとうとう最後まで拍手をしなかった。ここに来るまでいろんな噂があった。最近のナオちゃんは元気ない、レコード会社とどうもうまくいっていない、とかね。まぁ、真相はどうあれ、1年間音沙汰がなくて、今になって1年前に録音したままのシングルをそのまま発表したのは確かで、その先にアルバムがすぐ控えているかというと、全然未定だったりするのだけは事実だ。だけど僕は前向きに受け止めていた。1年間の間に何かあったんだろうけど、それをどうにか乗り越えて、新しい一歩を踏み出したタイミングが「月と細胞」の発売のタイミングであり、その再出発を確認する場がこのインストアライブだと思っていたんだ。でもそこにいたのは、前向きどころかどっぷり悩みの中にいるひとりの女の子だった。表現の根元にはいろんな理由があっていいと思うけど、僕は「痛み」を切り売りしているアーティストが大嫌いだ。コンプレックスやそんなもんでお金をもらうなんて恥ずかしいことだと思うから。ナオちゃんにはその判断が本能レベルで出来ている点で、聴いていてとても安心ができた。「痛み」をちゃんと「表現」にまで昇華できてたから。例えば今大人気のaikoと比べたって、全然引けを取らないし、僕の感覚からするとaikoのテイストがブレイクして、ナオちゃんがしないなんてことはあり得ないだろうってずっと思ってたんだけど、今回のインストアライブで簡単なことに気づいた。aikoは明るいけど今回のナオちゃんは明らかに暗いのだ。ステージが終わって特典の直筆サイン入り絵はがきをもらいながら、どのファンの顔も冴えなかった。元気をもらいに行ったら、逆に吸われて帰ってきた感じ。いや、いいんだ。それが古くからのファンである僕らの肩に乗っかるのは。でもインストアライブって言う新しいファンを発掘するための場としては、多分サイアクだったんじゃないか? 僕はナオちゃんのブレイクなんかより、もう25才の表現者の立ち位置、あるいはもうひとりの女の子として無茶苦茶不安になってしまった。今度レコードが出たら、有無を言わずに何枚も買ってサポートするだろうし、同人誌的な世界に浸ってしまっても、ライブに行かないとな、と思った。生きるって大変だ。がんばれ、ナオちゃん。