lovefool

たかなべが、ゲームやそれ以外の関心事を紹介します。

  ラヴフール(www.lovefool.jp) 

CD「メモリーズ」スピッツ

メモリーズ / 放浪カモメはどこまでも

メモリーズ / 放浪カモメはどこまでも

スピッツの話をすると長くなる上に、最近の事になれば特に文句しか出てこない僕だから新しいシングルやアルバムが出たって、わき上がった感情はそっと心の奥にとどめておこうと思い続けたここ2年間ですが、ちょっとちょっとどうなのよ!奥さん!いいじゃないの、新曲!


例えば、バンドが技術的に成熟したときに「今回はー、バンドとしての原点に返ってー」とか言うときは大抵危険。お金に困らなくなったせいか、メンバーの気持ちがてんでバラバラだったりなんかして、アレンジや小技ばっかり目立ったりすんのな。スピッツの場合はどうだったかと言うと「インディゴ地平線」から「99ep」まで、僕は聴くのがすごい辛かったですよ。なんつうか急激に世間に受け入れられていく事への「焦り」や、見えない誰かにあるイメージを植え付けられることを「拒む」ような、そういう負のイメージが、逆に強い強いエネルギーを生み出してたりなんかして、その複雑な熱量に、こう朝っぱらから脂っこいものを食べたような嫌ーな気持ちになってたんだ、僕は。「フェイクファー」の楽曲のすばらしさはともかく、あのジャケットデザインややわらかなネーミングセンスで、まさかあの肉っぽい音が入っているって普通思えないと思うんだけどなぁ。


でも新曲「メモリーズ」は違った! あやふやでちょっとシュールなイラストのジャケットに心配しながらも、なんかため込んでた余計なものをごっそり捨てて吹っ切れてる正宗がそこにいた。白いTシャツで演奏しているような、そんな気さくな感じがそこにあったんだ。実は「ホタル」の時はまだ疑っていた。聴いて、すごくシンプルでいい曲だと思ったけど、昔の黄金律が懐かしいだけなんじゃないか、昔、自分が初めて世界に受け入れられた時の感触をもう一度撫でていたいだけなんじゃないかって、疑ってた。でも今回はそんな不安を全部解消してくれるくらいのヒットだった。明快。気持ちいい。景色が広い。自分の立っている場所と進むべき方向をちゃんと再認識した等身大の音がそこから確かに聴こえたんだ。


だから言っちゃう! 言っちゃうよ。もっかいだけ付いて行く、もっかいだけ連れてって! ね。