lovefool

たかなべが、ゲームやそれ以外の関心事を紹介します。

  ラヴフール(www.lovefool.jp) 

僕だけの光


時計がクロノグラフになったみたいにたくさんの針ぐるぐると回っている。夜が更けていくという感覚もないくらいのスピード、速い速い。たったの1秒が待てないときだってあるのに、何周も同じところを回る壁掛け時計を前にため息をつくのさえ忘れたさ。近い未来の速すぎる乗り物の窓からは、流れる外の景色の色が全部全部混じり合って、きっとこの冴えないパソコンの色のような(日陰のボール紙のような温度も味もニュートラルな色)になっちゃうんだろうな。すべてのモノが究極を目指して、速く強く安く過激になったり、無駄がなくなったりしていく中で、逃げ場を失った退屈がもうどんどん新しい「ぜいたく」にすり替わっていく。つうかさ、ぜいたくって基本的に生活になくても困らないからぜいたくなんだ。みんなが眉間にしわを寄せて会社や学校に急ぐ朝の道を、のんびりとあくび混じりに逆行したり、普段は思い出しもしない距離感の友人に、思いつきで絵はがきを書いてみたり(万年筆で)、空も白んできた朝焼けの風呂上がりに、近くの自動販売機に甘ったるいコーヒーを買いに行って、その隣にあるおまけみたいなお稲荷さんにポケットの小銭を放り込んで適当な未来を描いてみたり、ね。


青白い顔で朝を迎えたら、三島さんっていうステキなじいちゃんが(つうか課長ですが。)缶コーヒーをそっと机の上に置いてくれたんだ。不意打ちの手紙をもらったみたいな、照れくさいうれしさ。あと真夜中の電話もうれしかったよ。ナースデイ、ただで入れて下さい。


あと何万クリックで未来が見えますか。勉強でも我慢でもないところで、しっかりした何かをつかめたら、それが僕だけの光になる。