「悲しい夢は夢だよ」と彼女は笑った。
「夢?」
「夢よ。私がお嫁にいくなんてずっとずっと先の事だろうし、例え、お嫁にいったってサヨナラにはならないでしょ?」
「ホントウ?」
「だいじょうぶだよ、私はちゃんとここにいるよ」
僕のことを全部わかってくれてるみたいにそう強く言ってくれたので、僕はうれしかった。頭の中で何度もハンスウし、コドモのようにはしゃぎたくなった。
「またあそぼうね。おさかなをいっしょにみてあったかいお茶を飲もう。『よくがんばったね』ってあたまなでてあげるよ」
みなぎるチカラを授かる。溢れる光で誘う。曖昧な不安を花びらにかえて、彼女は今日も僕を充たす。明日は僕が充たしてあげる。