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CD「THE GREAT SKELTON'S MUSIC GUIDE BOOK」トライセラトップス

THE GREAT SKELETON’S MUSIC GUIDE BOOK

THE GREAT SKELETON’S MUSIC GUIDE BOOK

衝撃的なデビューから一年も待たずして発表された2ndアルバム。やー、若いってすばらしいね。ためた曲もなく一から作り始めてこんなにしっかりしたアルバムができてしまうんだから大したもんだ。やっと彼らの底抜けなポップセンスがぽっと出のモノじゃないことは証明されたよね。1stの「勢い」に対して「揺らぎ」や「作り込み」を感じるそんな懐の深い良質な1枚に仕上がっております。


思い出してみるにトライセラってミドルナンバーとかバラードが全然ないっていうすげえバンドだった。今回の印象がとても緩やかでやさしく感じるのはそのせいなのかな。「ガテマラ」とか「ゴシックリング」などのゆったりとした曲調がイメージ豊かな新しいトライセラをがんがん見せつけてくれる。詞の内容や込められたメッセージもグッとひろがった。少なくとも半径2メートルから5メートルぐらいにはなってる。


早い曲がない訳じゃない、「PARTY」「FEVER」「キャラメルティー」とかあるし。でも夏の終わりみたいなそこはかとない寂しさがにじんでる。それはアルバム全編にあふれる「オトナになる悲しみ」のムードそのものにつながってゆく。YESだけでもNOだけでもない、でも昨日より少しは前に進みたいっていうそんな気持ち。あるいは焦り。


「この世に一つの僕の存在でも 今まででいたら越えられないんだよね」


「鏡見てそこに映るやつは今までの 生活に少しだけの変化を加えるそして願いを叶えるのさ 気が付けば花は咲いてる」


いいねー。前向きなオトナ、大賛成です。僕なんか計算高いんで「人よりちょっとだけはやく花を咲かすには」とか「あたかも咲いたように見せてしまうには」みたいな部分ばっかり研ぎ澄まされてたりしますけど、やっぱり理想は「あ、咲いてた? ホント」って人に言われて気づく感じ。「一生懸命」にちゃんと一生懸命になりたい。結果は二の次でいい。


シンプルに生きてゆくのは難しい。いらないモノをいらないとわかるにはそれなりの時間と経験が不可欠だから。でも迷っている時間が長いと自分で感じても、それに悩むことはないよね。自分の時間で自分の速度をちゃんとつかむこと。そしてそれを投げ出さないこと。トライセラの新譜はそんな等身大のリアリティに触れるいい音とコトバに溢れている。