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たかなべが、ゲームやそれ以外の関心事を紹介します。

  ラヴフール(www.lovefool.jp) 

ラヴフール・インタビュー マッキ→たかなべ


【マッキ】 それでは、よろしくお願いします。
【たかなべ】  はい
【マッキ】  まずはどうしましょう?緊張してます。
【たかなべ】  あれだね。自己紹介? あなたは誰ですか?
【マッキ】  はい。えーと、マッキといいます。
     たかなべさんとは、以前、声をかけていただいて、
      一緒にゲームを作らせて頂きました。
【たかなべ】 あー、なつかしい
      でもその前の付き合いから数えたら結構長いよね
【マッキ】 そうですね。
【たかなべ】 10周年中9年ぐらい?
【マッキ】 8年くらいかと。ラブフール初期の記憶がないので。
【たかなべ】 記憶がないっていいなぁ
【マッキ】 もともと、たかなべさんから僕のイラスト見てもらって、声をかけてもらって、
    直接会ったりして。そこでゲーム話してもらったのをおぼえてます。
【たかなべ】 あれだ、品川のアンナミラーズ
【マッキ】 懐かしい
【たかなべ】 生まれて初めて行ったもん
【マッキ】 でも、はじめていったのはあれですよ、ICC
【たかなべ】 やべー、覚えてない・・・
【マッキ】 多分それが最初。
【たかなべ】 うん
【マッキ】 東京駅で待ち合わせして初台のICCいって、ハイチカレー食べたのを良くおぼえてます。
【たかなべ】 初デートの思い出だ
【マッキ】 ほんと、、デートみたい。
【たかなべ】 なんだかんだでつかず離れず仕事もだいぶ手伝ってもらってます
【マッキ】 はい。一緒にゲームのお仕事させてもらったのは1年くらいでしたが、
      その後は、美術学校の職員をしつつ、たかなべさんのお仕事を手伝ったりしていました。
【たかなべ】 そうだね
【マッキ】 で、今日のテーマにもつながるんですが、
      僕は学校に勤めるようになって、デザインに目覚めたといっていいのですが、
      実はたかなべさんからいわれた言葉がデザイン、
      というか物作りの本当の楽しさに目覚めるきっかけといってよいんですね。
【たかなべ】 え、初耳。そうなの?
【マッキ】 そうですよ。
      いろいろと勉強になる言葉やお話は仕事のなかで聞いていたんですけど、
      あるとき「自分の中に別の人間を飼うといい」みたいなことを
      いわれたのを鮮明におぼえてますね。
【たかなべ】 あー、言ったかも。
【マッキ】 それは、客観的に自分の作った物をみろということなんですけど。
      それまでは、自分のために作ってたなあというのがあって、
      気付かされたというか。
【たかなべ】 作り手はフツー自分のために作るよね。
      世の中のものじゃ満足しない人たちだもん
【マッキ】 うんうん。
【たかなべ】 あと自分が作るものって
       うんこでも愛着が出てしまうというか‥
【マッキ】 そうですか?(笑)
【たかなべ】 出した直後ってどんなものでも達成感があって「どうだ!」って思うんだけど
      人から見れば、ちょっとでかめのうんこですよね?みたいな。
【マッキ】 (笑)
【たかなべ】 だからマッキに息を整える時間を持て、的なそんなことを言ったんだと思う
【マッキ】 そうですね。制作の姿勢とか、取り組み方とか、
      その後、変わってきたように思います。
【たかなべ】 でもさー、あれだろうな
       僕がマッキと仕事したときって、もう企画を始めていて
      デザイナーとして一線で生きていくことをある種あきらめた時期だったから
       若くて才能があるマッキになんとかこう想いを伝えたかったのかもなぁ
【マッキ】 確かに転換の時期でしたよね。それは伝わってました。
     これはインタビューとはまた別の話ですが、
      企画へ移るというきっかけはなにか理由があったのでしょうか?
【たかなべ】 最初、ゲームセンターの体感ゲーム機を作る部署に入ったんだけど
       「インターフェイスのデザインだぜー!」って思ってたのに
       実際手に触れる部分は、どこかの業者が作った既存のパーツだったんだよね
      それでまず「あれ?」ってなって
      あと、入った年が96年か7年なんだけど
      そこが体感ゲーム機のピークで、右肩下がりが始まって、
      2度目の「あれ?」ってなった
【マッキ】 なるほど。
【たかなべ】 そんで、我慢して切り詰めて筐体を作るより
       中身をフツーに作りたいんですけど!って思った
       でも、すでに家庭用ゲーム機向けの開発はプロジェクトの規模がすごいことになってて
     今から下積みをしてどうにかなるんだろうかと途方に暮れた
【マッキ】 はい。
【たかなべ】 そしたら新部署を作るんだけど、って募集があって
       それがモバイル系の部署で、これならなんとかなりそうって思って
       そこで企画に転向。
【マッキ】 工業デザインから、中身がやりたい!ってところが面白いですね。
【たかなべ】 んー、でもさ、ゲーム会社に開発として入って
        ゲーム以外を作るほうが逆に不思議じゃない?
【マッキ】 確かに。では気持ちとしては自然な流れだったんですね。
【たかなべ】 なんか変なことをおもいついて
      それをみんなに見せて笑わせる子供っているじゃん
【マッキ】  はい
【たかなべ】 そこに軸足があるので
       逆に美大とか、デザインとか、アートのほうが
       かっこつけてて自分じゃないみたいって感じだったよ
       だから、素に戻ったというか
【マッキ】 そうかあ。実は今日のテーマにもつながると思うんですけど、
      企画ってすっごいデザインだと思うんですよね。
【たかなべ】 そうだねぇ。そう思ってやってるしね
【マッキ】 では、それをふまえて、今日のテーマですが。
      デザイン(物作り)について、です。
【たかなべ】 はい
【マッキ】 まず聞きたかったのは、
      物作りの進路を選んだ時期と理由です。
      子供の頃から絵を描いたり、もの作ったりって
      多分美術の方に行く人間はみんなそうだと思うんですけど、
      「進路」として意識するのって一体いつだったんだろう?って。
【たかなべ】 んー、僕は父がデザイナーだったので子供の頃からそれを見てたから
      仕事って言うと、絵を描くか、それ以外かってぐらいしか考えられなかった
【マッキ】 うらやましい!
      なんか、環境が人を作るって、あるなあと思いますね。
【たかなべ】 単純に知識としてあるってのもあるし
       手を伸ばせば材料と先生がそこにあるもんね
       それはそうかも。
【マッキ】 じゃあ、もう子供の頃から仕事として物作りを意識できてたと。
【たかなべ】 家でスケッチとか見ると単純にすごいの。真似したくなるじゃん
【マッキ】 あーわかります。
【たかなべ】 それもキャンバスに油絵を描くとかじゃなくて
       グレーのイラストボードに、マーカーでくっきりした影と
       白いパステルと色鉛筆でシャープなハイライトとか入ってんの
     グレーな紙切れがいきなり空間になる
【マッキ】 かなりレアな体験談(笑)
【たかなべ】 ま、フツーないよね
【マッキ】 作るってことと「仕事」って結びつけるのが実はみんな遅いと思うんですよね。
【たかなべ】 そうか。僕はやんわりと小学校ぐらいからそう思ってたな
【マッキ】 ほんとですか!?僕全然ですよ。教えてくれる人もいなかったし。
【たかなべ】 僕は教えてほしいって言うより、え?何それ?やりたい!って感じ
【マッキ】 あーなるほど
【たかなべ】 でもね、変な感じだったよ
       絵を描くのは好きだから図工の宿題とかがんばるじゃん
【マッキ】 はい
【たかなべ】 でもそれを父がのぞきに来て「そんなんじゃだめだ」ってダメ出し
【マッキ】 すご(笑)
【たかなべ】 今思い出したけど、よく考えるとプロじゃない時間も、
       見習いみたいなもんだったのかな
【マッキ】 うんうん。図工の宿題でブラッシュアップを学んでますからね。
【たかなべ】 ブラッシュアップっていうと聞こえがいいけど
      当時の子供の僕にしたら
       なんで描きたいものに「いい」と「だめ」があるんだ!って
       超混乱してたよ
【マッキ】 それは正論です(笑)
      自由にのびのびと、っていう時期ですしね。
【たかなべ】 同じメッセージでも、効率よく伝える方法とかをきっと
       教えてくれてたんだろうけど意味わかんなかった
【マッキ】 うん、そうだろうと思います。
      デザインってわかりやすくないんですよね。
      だから説明するにも順序があったりして、:
      学校に勤めていた時はそこは気を使ってました。
【たかなべ】 あー、先生だもんねぇ
       オレさ、聞きたいんだけど
【マッキ】 はい
【たかなべ】 デザインの勉強って、シミュレーションでしかないじゃん
       先生の意見の妥当性ってどうやって生徒は理解できるの?
【マッキ】 きっと、大半の授業では、
      講師の経験や実績みたいなものとか、
      評価以外のその講師の考えやデザイン感みたいなものを
      学生は感じ取っていて、
      自分に大しての意見を取りこんでいくのかなあと思います。
【たかなべ】 なるほど。
【マッキ】 でも、僕はそれほど偉くもないし、そんな上から見下ろしたような授業はできないから
      情報だけをまずは丁寧に与えて、同じ視点で、一緒に物を作っていくように授業してたりしました。
      評価や考え方は人それぞれだっていうことは、
      自分もだけど、学生もよくわかっていて、だからかもしれないけど、
      僕の授業は学校に勤めていた後半はほとんど、
      僕が評価するんじゃなく学生みんなでみんなに投票したりして評価してました。
      もちろん僕の主観的な評価もつけますが、
      みんなでみると客観的な評価が目に見えてでるから。
      納得せざるを得ない。
【たかなべ】 ふうむ。なんか僕の美大生活と意識が違うなぁ
【マッキ】 意識、ですか?
【たかなべ】 聞いてる感じだと、生徒が学校っていう場を生かして楽しんでる感じがした
      部活とか、サークルのイメージ。
【マッキ】 学生が楽しんでるかはわかりませんが、でも課題が多いとか徹夜が続くとか、
      そういう物作りを学ぶスタンスみたいなものがベースとしてあって、
      それでも、デザインは人の為にあるものなので、楽しんで欲しいという気持ちはあったかもです。
【たかなべ】 いいなぁ。なんか日向っぽいな
【マッキ】 ひなた?
【たかなべ】 他の同期がどう感じてるか知らないけど
       僕の美大生活は毎日留年に怯えながら
       自分が信じられるものを自己肯定しないと、どうにかなりそうな日々
【マッキ】 学生の頃は僕もそうでしたよ。
【たかなべ】 で、才能あるなしに関係なく、あきらめた奴がどんどん脱落してくの。
【マッキ】 すっごくよくわかります。
【たかなべ】 じゃあ、その反省を踏まえて明るくしてる感じ?
【マッキ】 うーん、それもなくはないですが、正直なところ、学生のモチベーションが
      年を追うごとに低下してるなあというのは感じていて、
【たかなべ】 おー、年寄りっぽい発言だ!
       実際そうなの?
【マッキ】 そうなんですよね、すっごいやなんですよね。こういうこというの!
      でもそう感じます。
      でも、今の若者は!っていう意味ではなくて
      ゆるやかに、徐々にっていう感じかなあ。
【たかなべ】 それってさ、自分が成長して目が肥えて、相対的にそう見えるんじゃなくて?
【マッキ】 それもあるかもしれないですけど、でもあきらかなのは、
      学生の意識に働きかける必要がまずあるんですよね。
      昔はそんなことなかったと思うんです。
       うまくいえないけど、デザインを教えるにも一段階手前からやるようなそんな感じです。
【たかなべ】 うーぬ。
       よくわかんないけど、そういう人たちがいるとして
       教えないといけないんでしょうか?
【マッキ】 ひとついえるのは、
      デザインを勉強しているはずなのにデザインを知らないというところがあって
      でも、知らせるという手助けをちょっとしてみると、すごく良い物を作り出したりしますね。
【たかなべ】 楽しさから教えるってこと?
【マッキ】 「作る」と「デザインする」はイコールじゃないと思うんです。
【たかなべ】 そうだね
【マッキ】 でも学生は「作る」しかしてこなかったし、それしか知らないんですね。
      で、たちがわるいことにそれが「デザインする」だと思ってたりする場合もある。
【たかなべ】 それってフツーじゃない? そうでもない?
【マッキ】 うん、やっぱり「知らない」ほうが圧倒的に多いですかね。
      普通だと思います。それを知る為に来ている訳ですから。
【たかなべ】 すごいなー、教えることがいっぱいあるってすごいよ
【マッキ】 そうですかね。
      教えるというか、気付かせるのほうが近いかもです。特に最初は。
      気付けば勝手にどんどん成長してくれるんですよね。
【たかなべ】 ほー
【マッキ】 だからそこまでが自分の仕事で、あとは一緒に作ってるような感じです。
      もちろん学生は指導を仰いでいる意識なんですけどね。
【たかなべ】 どんな授業か見てみたいわ
【マッキ】 いや、もう先生じゃないんで。
【たかなべ】 でもまだやりたいんでしょ?
【マッキ】 すっごいやりたいですね。
      教育は一生できるからと、自分を納得させて社会の荒波にでてきました。
      話をもどしましょうか(笑)すごい横にそれましたが。
【たかなべ】 それたねー


【マッキ】 2つめの質問は、好きなデザイン、デザイナーはなんでしょう?です。
【たかなべ】 飛ぶなぁ
【マッキ】 よろしくおねがいします。
【たかなべ】 最初にデザイナーという言葉を父以外で知ったのはルイジコラーニって人
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AB%E3%82%A4%E3%82%B8%E3%83%BB%E3%82%B3%E3%83%A9%E3%83%BC%E3%83%8B
【マッキ】 はい。
【たかなべ】 ドイツ人だったかな、なんか古い城に愛人と住んでるの。
【マッキ】 (笑)インダストリアルの人ですよね。
【たかなべ】 80年代の神様の一人じゃないかな
       実際はインダストリアルデザイナーって言うより
       その手前のコンセプターって感じなのかな。
【マッキ】 そうなんですか?
【たかなべ】 製品になったものもたくさんあるけど
        そうじゃない、コンセプトデザインみたいなのが
        むちゃくちゃ夢があふれてて子供心にショックで。
【マッキ】 でも方向性としてもう工業デザインの方にむいていたんですね。たかなべ少年
【たかなべ】 あのね、ルイジコラーニの本を父が買ってきてね
       その帯がすごいの
      「下着からスペースシャトルまで!」って書いてあんの
【マッキ】 それはすごい!
      あ、でもデザインの本質を突いてる気がします。
【たかなべ】 それね、実は工業デザインの父っていう
       レイモンドローウィって人の「口紅から機関車まで」って言葉を
       拡張したコピーなんだよね。大学生になって知ったけど。
【マッキ】 それは知りませんでした。
【たかなべ】 父はグラフックデザイナーだったので2次元ベースだけど
      コラーニはもっと何でもできるじゃん!って思ってさ
【マッキ】 はあー
【たかなべ】 そんで、その熱が冷める前に本人と握手したよ!
【マッキ】 それすごいですね!いくつのときですか?
【たかなべ】 11歳ぐらいかな
【マッキ】 憧れのスポーツ選手と!っていうノリですかね。
【たかなべ】 玉川高島屋で、しょぼい展覧会やっててさ
        父と一緒に握手してもらった
        でもオレは価値が分かってなくて
        そんなすごい人だとあまり感じてなかったから
        軽く「わーい!」ぐらい
        大人になってからその価値にびびりましたけども。
【マッキ】 またすごいレアな体験がでましたね。
【たかなべ】 80年代ってスクウェアなデザインが多かったんだけど
       コラーニのデザインは直線がないの
【マッキ】 流線型?
【たかなべ】 エルゴノミクスデザインです!
【マッキ】 いま必死にしらべました。
      人間工学という意味ですね。
【たかなべ】 あ、そうなんだ・・
【マッキ】 あれ?
【たかなべ】 ざっくり言うと
       昔の一眼レフって四角いイメージあるじゃん
【マッキ】 はい。
【たかなべ】 コラーニがデザインすると
       粘土を握ったみたいな形になってて
       しかも超美しいライン
【マッキ】 身体的なデザイン?
【たかなべ】 ああ! そうそう
【マッキ】 なるほど、
【たかなべ】 ライン選びを自然界から抽出してて
        そのラインがエロいエロい
【マッキ】 有機的なんですね。
【たかなべ】 まじめに言うと有機的だけど
        まず目に飛び込んでくるのはエロさ
【マッキ】 コラーニ本人はエロさを自覚してるんですかね?
【たかなべ】 エロい彫刻とかあるからなぁ
       「自然界に直線はない!」がコンセプトですから
【マッキ】 しかし、下着からスペースシャトルまでっていうコピー、キャッチーでいいですね。エロさもあるし(笑)
【たかなべ】 そうだよね
        で、ぴーんとしたひげ生やして、パイプをくわえて
      どう考えても10歳以上年下の若い愛人がね、いるわけよ
【マッキ】 強い記号のオンパレードで面白い
【たかなべ】 もうデザイナーを目指さない理由が見当たらない
【マッキ】 では、コラーニ以外に、どなたかいますか?
      デザイン物でもいいですけど
【たかなべ】 90年代は大貫卓也が気になったな
       http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E8%B2%AB%E5%8D%93%E4%B9%9F
【マッキ】 ああー
【たかなべ】 もう大御所ですけど
       探りながらやってたデザインが開花した前後がすげー感動的だった
【マッキ】 具体的にいうとどのあたりですかね?印象にあるものは?
【たかなべ】 としまえんかな
【マッキ】 確かに実験的な物多いですね。
【たかなべ】 いや、実験だと思ってないよ
【マッキ】 というと?
【たかなべ】 広告のラフスケッチがすごい勉強になったんだけど
       フラッシュアイディアをたくさん出すときにさ
       駄洒落みたいなのっていくつか出るじゃん
【マッキ】 中にはくだらないのとか、ありますよね。
【たかなべ】 で、たいていは自主規制で没にするじゃん
【マッキ】 うん、わかります。
【たかなべ】 でも、その瞬発力とか可能性を
       本気で突き詰める人ってなかなかいないというか
       まずいないじゃん
【マッキ】  あきらめたり妥協したり、いろいろと突き詰められない。
【たかなべ】 うーん、もうちょっと次元が高い
       オレ、アイディアにいい悪いってないと思っててさ
【マッキ】 はい
【たかなべ】 切り口だったり、演出だったり、時代のタイミングだったり
        そういうのがかみ合ったときに
        アイディアが活きるか活きないかの差が出るだけの気がしていて
【マッキ】 うんうん
【たかなべ】 駄洒落を没にするときの感覚って
       たぶん「こんなの人に見せられるもんじゃない」とか
       「くだらねー」って思ってるんじゃないかって自分で思ったの
【マッキ】 そうですね。わかります
【たかなべ】 でもアイディアのエネルギーはきっと等価でさ
       等価どころか、誰もが気づいていながら
      ちゃんと料理したことがない食材だったりしてさ
       宝の山かもしれないわけじゃん
【マッキ】 そうですね。
【たかなべ】 そういうのを、馬鹿っぽく茶化す感じじゃなく
        どまじめにやってる感じが伝わってきたんだよなぁ
【マッキ】 よっぽど自分のアイデアを信じていないと、できないことのような気もします。
【たかなべ】 広告って他人のお金で動くものだしね
       そりゃすごい労力だと思うよ
【マッキ】 しかも確証のあることってわけでもなくて。
【たかなべ】 確証?
【マッキ】 面白いかどうか、とか、あってるかどうか、とか。これでいいのかっていう確証。
【たかなべ】 プレゼンする頃には迷いはないみたいだけど
        細かいデザインワークはすべての可能性をぜーんぶ広げて
        一個ずつダメ出ししていくって言ってた。
【マッキ】 ものすごいですね。
【たかなべ】 感動したし、そうあるべきだと思ったから
       自分ではそのしょぼいバージョンをやってるつもり
【マッキ】 たかなべさんの根底には大貫さんもいたんですね
【たかなべ】 いたのかなぁ
       それは、もうデザインの勉強をしてるときだね。大学生の頃。
【マッキ】 なるほど、特に大貫さんも全盛のころですもんね。多分ものすごい
      たくさんの人に影響をあたえてるんでしょうね。
【たかなべ】 そうだねー。


【マッキ】 では、最後の質問です。
【たかなべ】 はい
【マッキ】 これは、僕が個人的にデザインに携わる人にできるだけ聞いてることなんですけど。
      「あなたにとってデザインってなんですか?」
【たかなべ】 すげー! 番組みたい!
【マッキ】 最後に相応しい質問です。
【たかなべ】 そうだなぁ
【マッキ】 むずかしいですよね。
【たかなべ】 僕は美大での中では相当不器用なほうでデッサンとか超下手なのね
【マッキ】 それは意外です。
【たかなべ】 でもデザインってそれだけじゃなくて大雑把な言い方だと
      「生きる工夫」とか「相手を思いやる」みたいなことの割合が多いと
      勝手に思ってるのね
【マッキ】 すごくよくわかります。
【たかなべ】 でね。そういうと偉そうなんだけど、もう一階層加えると
       物を作る人の多くって実生活が不器用だと思ってて
       そこをデザインって言う手段で不器用なりに切り開いていくイメージ
【マッキ】 はあー、意外です。あでもいわれるとすごく納得ですけど。なるほど。
【たかなべ】 僕が好きな歌手で松崎ナオっているじゃん
【マッキ】 はい。
【たかなべ】 彼女が歌っている動機は
      手紙がうまくかけなかったからだそうですよ
【マッキ】 なるほど。不器用ですね。
【たかなべ】 すごく納得したのを覚えている
【マッキ】 僕がこの質問をする理由は、
      多分この質問って答えとか正解不正解があまり関係なくって、
      きっと、何年後とか、答えが変わってることだってあるだろうし、
      積み重なってより深い答えになることだってあると思うんですけど、
      その時の、その人の、いまの
      デザインに対するスタンスみたいなものが垣間みれる質問なのかなと思うんですね。
【たかなべ】 そうだね
【マッキ】 そういう、その人なりのデザインに対する考えっていうのが、
      自分にとってはとても財産というか、聞いてて嬉しいんですよね。
【たかなべ】 僕も楽しかったゲームの話を聞くのは好きだよ
【マッキ】 あ、そういう感覚ですね。そして共有したくなる。
【たかなべ】 その人にとっての希望って生きる目的とイコールだもんね