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映画「海がきこえる」

海がきこえる
海がきこえる
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アニメ「海がきこえる」を見た。小説をアニメ化したものらしい。原作は未読。


僕は他の人と物語に求めているものがあんまり一致しないことが多くて、僕が好きなものにはあまり一般性がないんだな、と思う。


そんな中で、分かってきたのは、アニメにはドキュメンタリーのような種類のリアルさを求め、実写には現実と非現実感との徹底したなじませ方を求めているなということ。うーん、根本的に表現手段と表現に対して間口が狭すぎる気がする。


作品の話に戻りますが、この映画はその狭い隙間をちゃんと突破してきた。いわゆる十代の胸キュン映画だろ?っていう僕の勝手な思い込みをちゃんと飛び越えてきて、主人公の男の子に感情移入させてくれた。ヒロインの女の子もアニメの世界独特の「妄想の中の不思議ちゃん(=都合のいい女)」って感じじゃなくて、あー、クラスに一人はいるねー、こういう人って思った。実在感があった。


短く言うとこのお話は、都会から来た性格のきつい女の子に振り回される田舎育ちの男の子の話だ。


セリフも説明的過ぎないで、なまりは心地よいリズムを刻んでいる。つまらないプライドに振り回される少女や、それを許せないはずなのにどうしても目が離せない男の子。そのココロの動きが丁寧につづられる。


90分という短さもいいと思う。だらけそうになるシーンもほどよくペースアップされている気がして、飽きる暇がない。


ディスコミュニケーションの話としては、最後に二人が歩み寄れるきっかけとして「単なる時間の経過」=「思い出として美化」っていう図式が物語的にちょっと弱い気もしたけど、大げさにならない自然な演出で「現実もそんなような風にできてるし、誰しもそんな思いを一つや二つ抱えて生きてるもんだろう」っていう納得に変っていく。それが見終わった後に広がる感触として心地よい。


何年かしたらもう一回見たいな、と思った。