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たかなべが、ゲームやそれ以外の関心事を紹介します。

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エースコンバット04

エースコンバット04 シャッタードスカイ

エースコンバット04 シャッタードスカイ

エースコンバット04」と「ソニックアドベンチャー2」をクリアしました。どっちも5つ星をあげたい傑作でした。ソニック2はムキュウでも年末に楽しめるそうなので、ぜひそっちを遊んでみてねってことで今回は終わらせたいですが、エースコンバット04はなんというか、こう、新しい肌感覚というのを覚えたね。


例えば、僕はゲームが写実的になるっていう方向や、殺伐とした世界を題材にしたエンターテイメントが嫌いで、このエースコンバットなんかは、リアルな戦闘機に乗って敵の基地やら機体やらにガンガンミサイルを打ち込んでエースパイロット気分を味わうっていう意味において、もう僕なんかは半分以上「ごめんなさい、これ食べれません」って感じなんだ。実際、プレイを始めて数時間は「薄曇りで暗いイメージだなぁ」「別に戦争なんかしたくないんだけどなぁ」「ちゃんと操縦できなくて海にばっかり落ちてるなぁ」「フォントが小さくて読みづらいなぁ」とばかり思っていたんだけど、3時間を過ぎた辺りから、だんだん新米パイロットがエースになっていくような成長を遂げ、頭の中で作戦を自分の順番で遂行していくプロセスを思い描けるようになると、今度はさっきまではただのBGMでしかなかった音楽や、敵機を撃墜した時の興奮した仲間の無線、自分が撃墜した戦闘機や基地の中にいただろう誰かの命、そう言ったものを、テキストやムービーの説明ではなく、肌感覚として感じるようになってきて、そうした時に、薄曇りに描いた空の意味や、ロックじゃない音楽の意味や、僕がエースであるために興奮する仲間達の無線の意味が、完全に主観視点でわかってきたのだった。


このゲームは、戦争のエースパイロットになれるっていうシンプルな夢を満たしながら、その裏側で、その虚無感を限りなくリアルに表現した作品なんだ。


ミッションを5つもクリアすると、自分がエースであることを自覚し始める。作戦を聞き、ほとんどすべての敵機を撃墜するイメージを思い描く。思い描いた通りにそれが繰り広げられる。現実にそっくりな世界で、まるでゲームのように戦争をしているという不思議な感覚を味わう。ボタンを押すだけでどこかの知らない誰かの命が消えて、仲間達が無線で興奮した声を投げかけてくる。「やったな! お前こそ英雄だ!」。


その瞬間、広くどこまでも続く曇り空に抱かれながら、自分が破壊した敵地を見下ろし、なんて不毛なんだって思う。ゲームをすることが不毛っていうなら分かる。でもそうじゃなくてエースパイロットであることの不毛さを肌で感じている。こんなに広く美しい世界の中でなんてちっぽけなことをやっているんだと。もう役柄になりきってしまっているのだ。なんて悲しいロールプレイングゲームなんだ。ぞっとする。


ミッションも半ばを過ぎると、自分の行いが否応無しに英雄として祭り上げられていくことに恐怖を覚える。敵の顔も知らない。恨みだって個人的にはない。兵器を恨むなら、自分が操縦しているそれはなんなんだ? 相手の知らないのに親指一つであらゆる物(命)を撃墜していく。すべての人にこの感覚が届くとは思わないし、単純に戦争好きな人はリアルな戦争ごっことしてこのゲームを遊ぶんだろう。僕はゲームで味わった初めてのブンガクかもしんないって思ったよ。頭の中に濃い霧が掛かった。能動的に世界に参加しないと得られないタイプの濃い霧だ。