lovefool

たかなべが、ゲームやそれ以外の関心事を紹介します。

  ラヴフール(www.lovefool.jp) 

デザイナーが戦う相手


連休です。予定ないっつうの! いや、予定はいくらでも作れる、したいこともある。お金がないだけ。後輩と残業前の夕飯を食べていて、今の会社の給料で5年後10年後を想像すると目の前が暗くなる、というとても前向きな話題に。僕も去年同じ事を考えた。最近では同じ部署の偉い人に僕はどうがんばると給料やボーナスが倍になるんですか? 今の給料やボーナスは何を基準に決まってるんですか? 月に何度か挙げている作業報告書の仕事分類番号に反映されない作業はまったく査定外ってことですか? みたいな感じになって、1時間近く押し問答した結果、僕に限らずぼやーっとした全体の雰囲気しかみてもらってないことが判明。あまりに悔しかったので、自分のプロジェクトに関しては俺採点表、俺報告書、俺基準達成表、など勝手なフォーマットを作ってプロジェクトが終わり次第、突きつけることにしてみた次第です。そりゃ、ラヴフールもカスカスの乾いた感じになるっつうの。


そんなかわいそうな僕ちんに自分からご褒美!って言うとホントに悲しくなってしまうので勘弁ですが、ゲームボーイアドバンスの予約をしたっつうの。ローソンのロッピィという冴えないオンライン予約機を皆さんご存じだろうか。あれってスーパーファミコンゲームボーイのソフト書き換えシステムもついてんだよ! ゲームボーイ版のスーパーマリオバルーンファイトはアレでしか出来なんだ!って言いながら一度も使ったことないですけどね。そのロッピィの上に大きなPOPが立ってた。ゲームボーイアドバンス予約開始!ってな。ポケモン金銀の予約の時は何回アクセスしても「回線が混雑しています」でヤキモキした親子が全国に200万人ぐらいいたような雰囲気だったけど、今回はなんか呆然とするぐらいつるっと予約できた。さんざんメディアで270万台の需要に対して100万台しか初回は出荷されないから売り切れ必至!急げ!みたいに煽っていたから、イベントを楽しむつもりでちょっとドキドキして、予約開始時間からわざと30分遅れでローソンに行ってみたりして、自分を追い込んで楽しもうと思っていたのによー。色はどれもカンペキにイマイチ、いや、イマ3ぐらいだったけど、もうどうでもいいって感じにシースルーの水色の奴にした。さむーい! オレンジのが出たら即買い換えます。


ところで1101.comの任天堂コーナー「樹の上の秘密基地」にアドバンスのデザイン座談会みたいのが連載されてるんだけど、全然共感できなくて最高。どうしたい、こう見せたい、ここがかっこいい!っていう夢のある話しは1ミリもなくて、インハウスデザイナー(サラリーマンデザイナーのこと)の悲哀ばっかりが感じられるツラめの話しが満載です。さんざん社内でいじり倒した挙げ句に、社外のフランス人デザイナー(外注)に放り投げてできたのがあのデザインだそうな。液晶を覆うガラスの周りを囲む台形のゆるーい線とか、任天堂らしくなくてなんかむかつく!と思っていたらやっぱりフランス人の仕業だった。あのラインに自分の固定観念を壊されてハッとしたと任天堂のデザイナーは言っているけど、いじりすぎてとっちらかった要素を、単純に外の血を入れて全く違う観点から組み立て直そうという話しだったようですね。


じゃあインハウスデザイナーの仕事ってそもそもなんなんだよっていう素朴な疑問にぶつかる訳なんだけど、どうやらデザイナーを辞めた僕が思うに、デザイナーという職業が「ちゃんと機能する」為には、戦わなくちゃいけない場面って言うのがたくさんあって、それは芸術家や設計者の専門家的な部分ではなくて、偉い人の気持ちをなんとなく動かせちゃう(悪い言い方で言えば)策士的な部分が、想像していたよりずっとずっとほとんどの部分を占めていることが分かったよ。デザインっていうのは、いいものが出来ようが出来なかろうが、結果から成果を割り出すことが出来ない業種なので、なんか面倒くさいことを言って、お金や手間を増やしたがる奴って思われていることが大半です。だからそれをちゃんと「効果的」でデザインに力を入れることが「全体にどう作用する」のかを、フツーのおじさんに翻訳してあげられる策士、あるいは策士的な才能を持つデザイナーが必要。世の中には本当にモノを作っているのかどうか疑わしいのに、なんとなくお金の集まりが良さそうなクリエイター気取りな人っていうのが多いなーって思ったことないっすか。どうやらそれって「翻訳がうまい」っていう才能らしいですよ。で、ここからがびっくりなんだけど、お金儲けをするっていう観点から言ってしまえばアレだ。要するに自分で飛び抜けたモノなんか作れなくたって説明さえ出来れば、お金は動くんじゃん!という結果です(アドバンス対談の隣にあるゼルダ対談がまさにそんな感じなので必見です)。だったら、日本の製造業で言うところのホントのデザイナーって言うのは、ターゲットと商品の大枠やジャンルを偉い人を説得させながら、決めていくところなのでは。徹夜して図面を引いたり、粘土を削ったりっていうのは、モノが出来ていく過程の中の全体の割合として、そんなに重要な位置を占めてないように見えるのでは。という懸念にぶつかるわけです。その自覚が始まって(あるいは幻想が壊れてみて)初めて、デザイナーが戦わなくちゃいけないのが他社の製品なんかじゃないことが分かる気がする。世界を変えるのはそんな相対評価で計れるもんじゃなく、初心をストレスなくアウトプットできる環境に自分で自分を置いたデザイナーだろう、と僕は思うんだよね。戦ってるのは知ってる。でも意味のあるところで戦えてる? そんなことを思う最近なのだった。転職雑誌のCMとか目に付きすぎ!