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たかなべが、ゲームやそれ以外の関心事を紹介します。

  ラヴフール(www.lovefool.jp) 

「ミルクティー、ジョジョ、ピンポン、オザケン」


雨の日ってさー、甘ったるいミルクティーを飲みたくならない? と言うと75%以上の確率でオンナノコの共感が得られます。オレ調べ1997。


家に本やCDを置くスペースがないので資料になりそうなものは(ならないものなんかないけどさ)少しずつ会社に持ち込んでる仕事熱心な僕です。先週までにジョジョの奇妙な冒険を63巻まで、CDを100枚ほど移動させたところ、アーラ不思議、見る見る部屋が片付いちゃって、それからと言うもの27年目にして初めて恋人ができるわ、万馬券に大当たりするわ、持病の扁頭痛と水虫もすっかり良くなって、なんだか背も2センチ伸びたりしてステキな毎日。


しかしアレね。ジョジョ好きな人に話をすると約7割の人が第2部が好きと答えるね、ジョセフと究極生物の奴。残りの人は第3部、承太郎とディオの、初めて「スタンド」という概念が出てきた奴。僕は連載一回目から猛烈なファンですが、4部が一番好きだなぁって朝の電車の中で読み直しながら思った。2部までの生き急いでいるような勢い(実際連載はいつ打ち切られるかわかんないし)はおもしろいし、3部の次から次に強い敵が現れるっていう少年ジャンプの王道ストーリーも楽しいけど、第4部はエピソードが一つ一つ並列になっていて、次に出てくる敵がより強いとは限らないところが掟破りでかっこいい。時には敵でさえなかったりして。それぞれのエピソードが響き合って奇妙な街を作り上げていく感じ。どっから読んでもいいし、エピソードが増えるほど街の密度が上がっていく。これってテレビゲームの「ゼルダの伝説 ムジュラの仮面」や「シェンムー」のゲームデザインに少なからず影響を与えているはずだと思うよ。「始まり→終わり」と言う数直線で表せない立体的なストーリーと言うのかな。ゲームが進化の過程で取り込めるようになったルールの可能性を、僕は先にジョジョの中に感じていたんだなぁとも思う。


また超能力を背後霊のように視覚化した存在「スタンド」を4部では人の心の弱さ→狂気と置き換えて表現しているのもいい。敵のボスが体力的に優れた人ではないというのも4部に始まったことだし、荒木飛呂彦の頭の中を広げてそのままパノラマにしたような、そういうのびのびとした創作活動が一番感じられるのがこの4部だからだと思う。そう思って読み直してみるとまた新しい発見があるかも知れないよ。


今日からは松本大洋の「ピンポン」を移動。少年達のスポーツ漫画というテーマで描かれたこの作品は、主人公が挫折を努力で塗り替えていくという少年漫画の黄金セオリーを守りながら、実は勝つ側ではなく、その負けっぷりにあまりに鋭い洞察力で迫った名作として知られる。時速140キロのボールが飛び交う地上最速の球技「卓球」との関わり方で、いろんなキャラクターのいろんな人生観がくっきりと浮き彫りにされる。挫折、挫折とにかく挫折。もうこの作品は1巻だけで僕、3ヶ所も泣いちゃう。何度読み直しても、電車がむちゃくちゃ混んでいてとなりのおっさんのスーツがいやな匂いを発していても、おんなじところで毎回涙が溢れてくる。はい、単行本を持っている人は今すぐ用意して。一つだけ教えるよ。いーかー、テキスト83ページの一番下のコマからー、84ページの最後まで。これ、中国から来た選手に主人公のペコが卓球の試合を挑んで、一点も取れずに負けてしまうという屈辱を味わった直後のシーン。江の電に乗りながらの帰り道、幼なじみのスマイルはペコを慰めるわけでもなく、「ンー、ンンー」って鼻歌を歌う。「何なの? そのヘンテコな曲は」「僕が作ったんだ。変?」「少しな‥」「うん」。ここで泣く。心の底から分かり合っている二人の心情を察しちゃうから。普段無口で笑わないスマイルがペコの気持ちに寄り添っているのがわかるから。僕の知っている「信頼感」というものを一番スマートに表現したカタチがこれだから。読んだことない人は人生の楽しみの3%分ぐらいは損してると思うんだよなぁ、掛け値なしで。


あと、今日は思い立って、小沢健二の「犬は吠えるが〜」と「LIFE」とか、スチャダラパーの「タワーリングナンセンス」とか仕事中に聴いていた。なんか90年代前半の終わりのない退屈の中から「自立」もぎ取るっていう熱い感じが懐かしくもグッと来て、いろんな思いが駆け巡った。とんりあんめぇがこんくりいとうぉそんめてぇいくんのさ、ぼっくらのぉこころのなかへもしっみこんむぅようさ。