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スーパーカーのライブ


11月6日、リキッドルームで行われた、スーパーカーのライブに行って来ました。先日発表されたシングル「SUNDAY PEOPLE」と同じ名を冠した今回のツアーは、メンバーもいうように来春発表されるセカンドアルバムとファーストの音楽的変化をつなぐ橋渡し的な内容でした。特に注目すべきはデザートストームによる音響効果。低音の張りがすごくよかったし、ギターのハウリングと、打ち込みと手打ちのドラムンベースだけで延々と続く中盤が、もうなんかトリップしちゃいそうな快感でした。


この日どうしても聴きたかった曲が2曲あって、それは「SUNDAY PEOPLE」のC/W「SEVEN FRONT」と、もう僕の主題歌とも言える名曲「PLANET」だったんだけど、これが何と今回2曲続けての演奏でした。大げさに思うかも知れないけど、その瞬間、死んでもいいと思った。僕はいつも感覚が不感症のように冷めていて、大抵のことじゃドキドキしないし、少しでも表現上のスキを見せれば、冷笑さえ浮かべるようなスタンスなんだけど、野望や格好つけや理屈なんかとは無縁の彼らのピュアネスには、いつも感情を裸にされるような強く澄んだ風と、高く青い空を感じさせる。突き上げるようなギターのイントロが鳴り響く度に、僕は大好きだった女の子に夢で会えたような興奮と安堵の深く入り交じった、熱くて冷たいものがこみ上げるてくるのを止められなくなります。数えられるだけでも4回ぐらい泣いてたね、僕は。


印象的だったのはもうファーストで披露した曲はもはやノスタルジーでしかなかったということ。客の求める、「LUCKY」や「CREAM SODA」などの盛り上がりと、打ち込みやサンプリングを多用したこれからのヴィジョンが、若い女の子のファンの間ではあまりうまく繋がって聴こえていなかったようだ。僕の中では圧倒的にこれからのスーパーカーが魅力的で挑発的に思えてうれしかったけど、タテノリのギターポップを求めた若さの中には欲求不満も残ったことだろう。


スーパーカーの登場により、ドラムンベースさえも「新しくはない」ロックの一文法としてすっかろ消化されたこれからは「スリーアウトチェンジ」とまで自身で言い放つような新しい「イニング(時代)」が待っているだろう。過剰な期待も、生ぬるい煩悩も持ち前のフットワークでするりするりとかわしながら、彼らの未来を一緒に体験して生きていきたい、と思った。あまりにも未熟でその分、才能とセンスが際立つ彼ら。未来はそっと、そして確かにここからやってくる。