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たかなべが、ゲームやそれ以外の関心事を紹介します。

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バイオハザード2(デュアルショック・バージョン)


痛いのとか暗いのとか怖いのとか気持ち悪いのが苦手。表現は常に壮快感や快楽に繋がってて欲しいって思うタイプなんだわね。だからこのゲームがいくらもてはやされても、きっとずっと手を出さないと誓ってた。ゾンビとは言え、人をたくさん撃ち殺さないと生き残れないような世界(しかも死に方は相当リアルで重々しい)にわざわざお金を払って入る気がしなかったんだ。


でもお店のデモンストレーションを呆然と眺めてたら簡単に気が変わった。直感的に「あ、リアルってこういうことだ」と思えた。


前にも話したけど、ファミコンの頃にはハードの性能から受けるデザイン的制約があまりに多くて、それが結果的に程良くアフォーダンス(恣意性)の効いた記号性の高い画像になってたんだ。それがその世界の成り立ちやルールを表し、その世界で自分が何をすべきかを明確にしていた。仮想世界でのリアリティとはまさにそう言った高度な象徴性の上にしか成り立たない部分があって、そこが人間の知恵を感じるかっこいいとこだと思うし、ただ絵を細かく綺麗にしたからってリアル感が増すとは限らないのはそういうことなんだ。


で、バイオハザードに話しが戻るけど、このゲームのリアル感はそういう「次に何をしたらいいかわかる高度な象徴性」の上にちゃんと成り立っているんだわね。例えば、初めてドラゴンクエストをして城を出て、遠くに街が見えたときのような、スーパーマリオで大きく口を開けた土管の上に乗ったときのような、頭のあたりに「?」と書かれたボックスがきらめいている時のような。


そういう単純で当たり前のサインが、ゾンビに荒らされ、スラムのようにとっちらかったリアルな画面の中でちゃんと両立できているのがすごい。ファイナルファンタジー7とか、リアルなのかも知れないけど、画面のにぎやかさだけで自分がどこにいるのかわからなくなるくらいだったから、ホント大違いです。いいわけみたいにオプションで矢印で指し示す機能まで付いてた。デザインってそう言うことじゃないだろ!


あらかじめ100万人以上を対象にしているせいか、謎解きに関しても作り手のひとりよがりな部分がなく、普段ほとんどゲームをしない僕でも、その仮想世界にいる自分の境遇を「楽しむ」ことができたよ。マニアにはマニア向けの難しい条件設定や、主人公ごとの裏面のストーリーも用意されてて、さすがのサービスぶり。もう「ストリートファイター」だけの会社じゃなくなったね、カプコンは。これで4800円って言うんだから、売れないわけがない。画面のリアルさを初めて必要だと感じたゲームです。文句無しの名作。