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たかなべが、ゲームやそれ以外の関心事を紹介します。

  ラヴフール(www.lovefool.jp) 

CD「SKY」ラヴォルタ


シーガル・スクリーミング・キス・ハー・キス・ハーのアイハと、シャカゾンビのツッチー(しりません)で作ったユニット、ラヴォルタのアルバム。この全然売る気のないインディーズ感覚丸出しなジャケットデザインとは裏腹に、甘えのない緊張感にみなぎるスーパーハードなアルバム。ドラムンベース以降のロックを問う、文句なしの大傑作。


ユニットという普段と違う血を入れているせいか、シーガルでやってるときより実験性は若干抑えられているものの、そこに程良いポップ感が生まれていて気持ちいい。ドラムのループもこの二人なら全然違った強さを持つし、ひずませたギターにもけして自己陶酔することなくジャストな意味を持たせることができる。


中でも衝撃なのは3曲目の「FAITH」。これ昔ヒットしたジョージ・マイケルの曲のカバーだよ? もうなんかブランキーがデビュー前にCMで「MY WAY」(シナトラ)をカバーしてたのとか思い出すような戦慄。矢野顕子のジャズピアノ版「すばらしい日々」(ユニコーン)とかね。もう存在そのものがアート。原曲と比べる意味がまるでない。どっちが作曲者だかわからないぐらいのものすごい存在感です。(ちなみに上記3曲とも僕はカバーの方を大絶賛する人ね。)この曲の為だけにこのアルバムを買いに行っても僕は充分価値があると思うね。


シーガルは一度だけテレビ収録のライブで見て、その圧倒的な演奏力と存在感に衝撃を受けた。ステージで轟音を鳴らすアイハは途方もなくかっこよくて、僕は彼女を見上げながら、このひとだけには嫌われたくないなぁと思った。自分の力だけでこれだけ硬質で揺るぎない世界を作り出せる表現者は、例えばコイビトに何を求めるのだろう。そんな変なことも考えた。


彼女の作る音には「レコードを売ってお金をもうける」という意識がない。ただ完璧に磨かれた音が燦然(さんぜん)と並んでいるのだ。その音を磨くために彼女はきっと誰よりも練習を惜しまないだろう。しかしその磨いた音をみんなに見て欲しがるような気持ちさえないのだ。それはほめられたがりでしようがない表現者の僕としては、おそるべき完璧さに感じられる。こんだけすごいのを聞いてしまうと、普段いかに自分が甘えや計算の中に生きているかを反省せずにはいられないのです。