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たかなべが、ゲームやそれ以外の関心事を紹介します。

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PS3「Rain」

takanabe2013-10-10


夜はすっかり秋らしくなってまいりました。


秋の夜長ぐらいしっとりとしたゲームに没頭したい、そんなあなた(オレ)に、おすすめの一本を紹介します。


Rain」というPS3のダウンロードゲームです。


主人公は透明人間のような少年。なんで透明なのかはわかりません。そして同じような姿の少女を見かけます。他人です。その少女はこれまた同じように透明の化物に追われています。足の長い犬のような化物。2メートルぐらいありそうな大男のような化物。彼らに捕まると一撃で死んでしまうようです。全員透明人間なので姿は見えないのですが、この世界にはずーっと雨が降っていて、雨に打たれている間は姿が浮かび上がります。逆に屋内や屋根の下など、雨のない部分に入ると足音や、床のしぶきやホコリでしか自分の位置さえわからなくなります。


化物は常に少女や少年を追っかけてきて、殺そうとします。理由はわかりません。こちらには腕力も武器もありません。できるのは逃げ惑うことだけ。


ところで姿が見えなくなるというのは、気配そのものも化物から隠れることを意味するようです。つまり化物の目を盗んで屋根のあるところから屋根のあるところへ雨宿りし続けることで、活路を見出すゲームとなっています。


ゲーム的な解説をすれば、これは死にゲーです。時間内に極限的な状況を抜け出す方法をが見つけて実行しないと死んでゲームオーバーという類のゲームです。


もう一つ、雰囲気ゲーでもあります。仕組みはさほど新しいものではないけど、演出がおしゃれで耽美的な世界観があるものです。


この演出部分がいいですね。特に音です。雨がずーっと降り続けているのでその雨粒が地面を叩き続ける音がメインBGMになります。そしてヒントやストーリーが画面上に文字で現れますが、空間の垂直方向に寄り添った、フォントの表示をしていて、カメラがパンすると文字も同じように空間を移動します。


そして感情がちょっと揺れたシーンにはポロロン…とピアノや、キィキィ…と弦の音が加わります。ドビュッシーの「月の光」かな? いいですね、雨とクラシック。ヨーロッパのような石畳を濡らす夜の雨と、濡れた石、木、紙、金属が薄いブルーのベールを被ったような色彩の統一感と同時に質感のはっきりとした違いが両立しています。


化物のデザインも未来派の彫刻そっくりで、手塚治虫火の鳥でもこんな姿に他人が見えちゃう人が出てきてかわいそうだったなー、ってのを思い出しました。(火の鳥復活篇)


パッケージゲームはまだまだなくなることはないのでしょうが、ダウンロード専売ゲームもなかなかいいものが出揃ってきていて、このRainもゲームマニアよりむしろ、フツーにゲームを楽しみたいそんなあなたに、気まぐれに買っていい一本として是非オススメします。