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TVドラマ「終電バイバイ」

takanabe2013-03-12


夜にやってる番組といえば、コスト低めのトーク主体のバラエティばっかりで飽き飽きしますが、深夜ならではの挑戦的でピンポイントなドラマが久々に登場したので紹介します。

終電バイバイ

このドラマは、濱田岳が主演のオムニバスドラマで、毎回主人公や設定が異なります。でも必ず濱田岳が主役を演じます。何らかの事情で終電を逃してしまった主人公が、朝が来るまでちょっとだけ不思議な体験をして、始発と共に元の生活へ戻っていく、という形式を取っています。朝までを過ごす駅の雰囲気にちなんだ、不思議な体験をどう映像化するか、みたいな楽しみ方もあります。


演じる職業や立場は毎回違いますが、同じ俳優が演じている以上それはどうやっても濱田岳で、でもそれがマイナスになってないですし、濱田岳お得意の「ちょっと立場の弱い巻き込まれ型かつ、それでも前の進もうとする意志がはっきりと芽生える主人公」の揺れる気持ちの描かれ方が、本当に丁寧でグッと来ます。けして美形ではないし背も低いのですが、表情や声の貼り方など、なにか一つに集中して見るだけでも、その表現の幅の広さに舌を巻く勢いです。


もうひとつは不思議度の塩梅ですね。実写ドラマですからありそうでなさそうなファンタジーを、予算少なめでありつつもどう実現するか。この塩梅が丁度深夜割引というか、夜通しに仲間とバカ言い合ってる時の「盛った話」ぐらいの、既視感のある感じなんです。物語っぽい実話、実話っぽい物語。でもそれがまとまり過ぎずにある程度のスケール感や広さを感じさせるのは、深夜に襲ったモラトリアムの迷いや浮つきの揺れ幅から、翌朝の社会的立場にすっと戻っていく時の、始発のスカスカの席に半目のまぶたに映る空の、あのまっさらな透明感とよく似た後味があるからだと思います。


最後は1話分の時間でしょうか。1時間でもなく30分でもなく40分というなかなかない半端な時間でありながら、短くも長くも感じさせないみっちり度。必ず最後に流れる遊助のかなりありふれた感じの音楽さえ、涙を誘うエッセンスとしてきちんとかっちり機能してます。録画でもなんでもいいのでぜひ一度見てみてください。久々にモラトリアム物が紹介できてよかった!


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