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たかなべが、ゲームやそれ以外の関心事を紹介します。

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PSVita(1)


思えばPSPの発売からもう7年も経ってたんですね。PSPが出た時のハードの質感の高さとか画面の大きさとか明るさはホントすごかったな、というのを今でも覚えています。PSP本体自体が組み込まれている駅貼りの広告とかありましたもんね。それまで携帯ゲーム機といえば任天堂ゲームボーイシリーズの独壇場だったんで、それをおもちゃからAV機器の持つオトナの領域にまで引き上げようとするソニーの想いはかなり明確に伝わりました。PSP-1000のデザインとか未だにいいなと思いますしね。スライドパッドが2つついてないこと以外は好きです。


そのPSP2と言うべきなのがこのPSVitaです。7年前とほぼ同じ値段で、液晶は有機ELになり高解像度で深い黒が綺麗に発色しますし、5インチにサイズアップして携帯機ながら大画面な感覚が味わえます。マルチタッチのパネルを液晶側と背面にも装備、特に背面タッチパネルは昔iPhoneにも搭載される噂があったので様々な可能性を感じます。カメラも2つ、そして悲願のアナログスティックも据え置き機のプレイステーションと同様2つになって、順当にパワーアップしてます。通信系は携帯電話と同じ3G回線を搭載したものがバリエーションに加わり、場所を選ばない通信(有料)が可能になりました。


実際触ってみると、アレですね。iPhoneから受けた影響がものすごく多いです。スリープから復帰する操作にタッチパネルで壁紙を剥がすようなジェスチャーを強要されたり、アイコンが並んでいてフリックしてページを切り替えるメニューだとか、前面を覆うガラス、エッジを縁取るアルミというデザイン文法もそうですし、ボリュームボタンに至ってはまんまiPhone4と同じデザインだったりしてます。


値段的なことから言えば2倍以上の開きがあるスマートフォンと比べて、同等のところまで迫っているのでガジェットとしてのお買い得感はあります。ただやっぱ、ゲームだって安価にかなりたくさん遊べるスマートフォンに対して、ゲーム機にしかできないゲームを差別化するためについているものが、結果邪魔になっている感じはあります。


まず大画面の魅力とトレードオフですが、筐体がでかい。上着のポケットに収まりません。スマートフォンがズボンのポケットに収まってどこにでも生活に密着できることに対し、Vita(=Life)と名付けられたハードがこれでいいのか?というのは疑問です。音楽で置き換えるとウォークマンじゃなく、高性能ラジカセと言った感じ。


次に、ゲームソフトの販売方法。まずPSPのフォーマットだったUMDディスクが使えなくなっており、新しいカードタイプを採用しています。というか、このカード必要? ダウンロード販売のみに移行したいところを、小売販売を敵に回せないので仕方なく作っている気がします。選択肢が多いことはいいことでもあるのですが、昨今の中古販売や違法ダウンロード対策なのか、ゲーム本体のボリュームは控えめて、追加ダウンロードで課金させる作りが多くなっています。そう考えるとカードそのものにこだわる意味がほとんどないですし、物理メディアを差し替えて遊ぶという行為自体が、スマートフォンのように本体にたくさんアプリを入れて切り替えて遊ぶというスタイルに対して完全に逆行してます。単純に不便です。


その反面、本体にストレージがまったく内蔵されていないのも謎です。PSPGoを持ってるんですが、こちらには16GBが最初から内蔵されていて、UMD非対応、ダウンロード販売のみに対応っていう割り切りが思想としてはっきりしていたんです。でもそれがおどろくほど全く売れなかったせいもあってこういう中途半端な仕様になったのかも知れません。内蔵ストレージがないのは譲れたとして、メモリーカードが今までの汎用メモリースティックではなく、さらに独自規格にしているのも全く解せません。解せないっていうか、本体の赤字部分をホントは安いメモリーを高く売って帳尻を合わせたいんだろうなという勘ぐりをしたくなります。今まで何度も買い直したメモリースティックがゴミになるだけでなく、今後大容量に買い換えていくだろうメモリーカードに他の使い道がないのも忍びないですね。


あと充電やPC連動用のコネクタが本体下側の中央にあるのも、筐体を床面に立たせることができなくなりますので、充電しながら動画が見たい、という行為をしたいときに純正クレードルが必要になる感じとかもちょっとイラッとします。コネクタは側面か、下面だとしても端っこにレイアウトして欲しかった。


とそういう文句がたらたらありながら、肝心のゲーム自体はどうなのかというと、携帯機なのにPS2以上PS3未満のゲームができちゃう感動はありますね。初代Xboxぐらいのスペックがあるのかも知れません。別の言い方をすれば中小のゲーム会社では据え置き機を十分に作れるだけの体力がないと立ち向かえませんから、ソフトの種類が十分に増えてくるには今まで以上にたっぷりと時間がかかるでしょうし、その中間的な対策として、移植もの、リメイクものがしばらく続くだろうなという印象です。プレイステーション初期みたいな変な感じの浮ついた新作とか遊びたいけど、そういう企画物、雰囲気ものって今はむしろスマートフォンに流れてる気がしますね。


あ、一個うれしかったことがありました。PSPGoで以前ダウンロードした「モンスターハンターポータブル3」がPSVitaでも再ダウンロードできて、かつ、PSP GoからPC経由でセーブデータを移せました。これは地味にうれしかった。PSPのゲームはプレイ中に2秒間画面をタッチするとメニューが開いて、右スティックにカメラをちゃんと割り当てられるのもすばらしかった。こないだのPS3の情報漏えいのお詫びでもらった「リトルビックプラネットポータブル」「ロコロコミッドナイトカーニバル」も再ダウンロードできました。ちなみにPSPGoの小ささと並べると親子のようにでかいです、PSVita。倍ぐらいあるように見える。


まとめると、スマートフォンを意識しつつ、スマートフォンの利便性部分はスポイルされてて、でもなんか色々センサーもついてるし、2年以内にはまず確実に値下がりしそうだし、スティックも2本あるから次のモンハンがでたときにはきっと良い感じで遊べそう!っていうそんなハードです。2年後のゲーム機以外の世界ってどんなところにあるんだろう?って考えると、Vitaはとりあえず全方位にどっちにも向かえる機能をつんでおいた重めの迎撃戦用機って感じです。いつか廉価版機が出るときにいろいろはっきりしそう。