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たかなべが、ゲームやそれ以外の関心事を紹介します。

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3DS「スーパーマリオ3Dランド」

スーパーマリオ3Dランド
任天堂 (2011-11-03)
売り上げランキング: 10

スーパーマリオって国民的タイトルだし、あらゆる層に売れるものなので、初心者からゲームマニア、子供から老人までっていうディズニー映画的なミッションが元々課されているシリーズだと思います。


でも実際のところ、マリオってけっこう難しくて! どのシリーズもワールド1はお気楽気分で楽しめるものの、最後までクリアしたって人がどれくらいいるんだろう?と毎回首を傾げるほどの加速度的なカーブの難易度曲線です。言ってみりゃ、レクリエーション気分で入った部活で、え? この学校って全国大会目指すレベルだったの??と途方に暮れる感じと言っていいと思います。


なんというか… 初心者を中級者に引っ張りあげたいのは分かるんですが、その階段が急すぎる!! ピクニック気分で登山をしばらく楽しみたいのに、いきなり遭難するレベルの山とかどんどん来る。


ところが今回の新作はその積年の想いに答えてくれた感じがしました。登山で言うと高尾山ぐらいのところを丁寧に丁寧にレベルアップさせてくれる、初心者でも一息ついて紅葉やおいしい空気を楽しめる暇が十分にある。そういう仕上がりになっています。


デザインワークもいいです。マリオって子どもっぽい印象が拭えないと思うんですが、今回はいい意味でプラスチックっぽい。木や金属やレンガや土や草の、原色でありながら質感豊かな鮮やかさ。明るくてとてもポップで、コインやアイテムもたくさん落ちてて、狭いなりにいろんなものに触りながら歩いているだけで、もうかなり楽しい。マップも「スーパーマリオギャラクシー」の流れを汲む、導線とテンポ感がしっかりとした一本道+ワープ構造になっています。つまりコンパクトな空間に楽しみがギュッと詰まっている作りです。


さらにコンパクトにテンポを上げているのが、初代マリオの土管の中のコイン部屋に相当する、紫の?ボックスです。立方体の小さな部屋の中に、敵やアイテムが数個落ちていて、それらを一掃するとたくさんのコインやスターが落ちてくるというのを全部で10秒以内に達成しないと強制退出されます。これがうまくいくとけっこう気持ちがいいんです。ゲームの快感って、大きい達成感と小さい達成感の積み重ねの緩急なんだな、ってのを思い出させてくれます。この箱はすれちがい通信でユーザー間でどんどん循環していて、本編でスターが集められなくなっても、この部屋がどんどん交換されて現れることで、先に進む障壁を減らす役割も果たします。


5歳の子供も夢中になってチャレンジしてます。「時のオカリナ3D」でスライドパッドと3D空間にはもともと慣れていたものの、カメラ操作がない分、純粋にアクションに没頭できますし、2Dマリオより、ほっといて死なない度が高いのがいいですね。デフォルトがでかマリオなんで、1回はダメージを受けてもチビマリオになるだけで即死しないのも、コロンブスの卵的に最高にいい!ですし、バンバン落下死しても、テンポよくすぐに次にマリオが現れるので、僕もクリアまで100人近くマリオを死なせてしまいましたが、罪悪感とか徒労感は少なかったですね。


去年も「スーパーマリオギャラクシー2」だとか「NEWスーパーマリオWii」だとかで、多分に初心者に歩み寄っていたはずのマリオなんですが、「3Dランド」をプレイした後にもう一回戻ってみると、1面からもうつらいつらい。これホント、みんなに試して欲しい体験です。


任天堂としては、深い溝が出来てしまった2Dマリオと3Dマリオの狭間を埋める、教育的ソフトとしてこの「スーパーマリオ3Dランド」を位置づけているようで、そのミッションは十分達成したどころか、結果的に今までのスーパーマリオの中で一番、年齢性別経験を問わず誰でも楽しめる仕上がりになったと思っています。オススメです。