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たかなべが、ゲームやそれ以外の関心事を紹介します。

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PS3/360「キャサリン」

キャサリン 特典 サントラCD付き
アトラス (2011-02-17)
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ジャンルはアクションパズルと言えるのですが、変わり種なのは、非常にストーリーが厚いこと。


フリーターのような生活をしては、夜通し仲間と飲み歩いている32歳のヴィンセント。しっかり者で美人のキャサリンという彼女に結婚をほのめかされるも、のらりくらりと今のぐうたら生活を続けたいと願います。そんなさなか、やたらとセクシーで小悪魔的なもう一人のキャサリンが現れて、記憶もあやふやのまま一夜を共にしてしまいます。そして悪夢にうなされます。崩れ落ちるキューブの塔を、キャサリンに似た悪魔に追われながら駆け登らないといけない夢。しかもそのチャレンジに失敗すると夢から覚めないまま死んでしまいますし、無事登頂に成功しても、その夢は覚えておらず、また次の晩、その先の別の塔に登らされる羽目になるのです…。


言ってみれば、「モラトリアムパズルゲーム」とも言える、不思議なバックグラウンドを持った作品です。エロの匂いをふんだんに織り込んでいるので、パズルゲームにもかかわらず15歳以上推奨のCERO Cにカテゴライズされています。


ヴィンセントの声を山寺宏一、キャサリンの声を三石琴乃が演じてます。これはそのままエヴァンゲリオン加持リョウジ葛城ミサトのキャスティングです。この重鎮二人の演技がアニメムービー、CGムービーの両方に命を吹き込みます。


突如として現れる小悪魔キャサリンに翻弄されながら、毎晩のように悪夢にうなされ、崩れ落ちる塔の難易度は日に日に上がってゆきます。恋人キャサリンからは挙動不審に疑いをかけられ、妊娠中であることを告げられ、ヴィンセントは心も体も追い込まれてゆきます。


問題はパズル部分の難易度が、とてもストーリー重視の作品とは思えないほどスパルタな内容になっていることです。もちろん、残機数は無限に近い数を持っているので何回でもリトライできるのですが、「イージー」を選んでも、簡単に行き詰まる異常な難易度設定になっています。


これも後日修正パッチが出て、ベリーイージーが選べるようになり、パズル部分を破壊しかねない、一瞬で3段掛け登れるアイテムが出るようになりました。しかしこれを使いまくってでもまだクリアには十分難しいというバランスなので、ストーリーの先が気になる人は、迷わずベリーイージーで始めることをおすすめします。


終盤に向けてのストーリーの怒涛の展開は、軽い映画を見ているようで、実際ムービーパートの時には「ゴールデン遊戯劇場」という映画番組のようなロゴが画面左上に表示されています。そういうメタ的な視点、またメニューのデザインや音楽もここ数年間でトップクラスのかっこ良さなので、雰囲気重視で買ってしまっても十分楽しめる作品になっています。やることをやらずにのらりくらり暮らしている32歳男性を、わざわざゲームを買ってまで繰り返し演じるってどんなプレイだよ!(入れ子構造)という点がこのゲームの一番のウィットなんじゃないかな。