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映画「英国王のスピーチ」

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どもりがひどい英国王が、スピーチのためにトレーニングを積むお話。


題材が地味ですし、事実を2時間持たせるほどの緊張感をどう紡ぐのかと思っていたんですが、演技、演出、編集の三つ巴の素晴らしさであっという間の2時間でしたね。アカデミー賞も作品賞、監督賞、脚本賞、主演男優賞と4つも受賞しているそうです。僕は賞とか権威とかあんまり興味がないですが、なぜかアカデミー賞とはたいてい好みが合いますね。アカデミー賞を取る映画っていうのは基本人間ドラマをきちんと書いたものが多いです。


人間ドラマを描く、というのは、個々の人間を描くと言うことであり、個々の人間を描くというのは個々が存在し機能しているその社会を描くことであり、つまりは自分たちが住む現実とちゃんと地続きなリアルを感じられるかどうかなんです。これを「設定の突飛さ」や「展開の勢い」に寄せていくと若者向けになり、「心情の共感」や「感動」に寄せていくと年配向けになります。「英国王のスピーチ」は後者ですね。地味だけどいい話。


患者が王室の人と知りながら、対等な関係を迫り、自分のオフィスへ通院させることを断固として譲らない医者。割と切れやすいけど根は真面目で徐々に心を開いて行くジョージ6世。その友情と信頼、王としての責任を背負い込む一人の男の重圧をそっとサポートする家族の存在、そのバランス感覚がとても人間的で共感できる話でした。オトナの味わいです。