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たかなべが、ゲームやそれ以外の関心事を紹介します。

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映画「借りぐらしのアリエッティ」

昔から小さい者から見た視点が大好き。「トイストーリー」「南くんの恋人」だとか「ピクミン」「ちびロボ!」とかね。


言い換えれば散々出尽くしているモチーフでもあるし、そこにどう老舗スタジオが新しい色を入れていくのかは気になるところ。


結果から言うと、100分間程度の中くらいの枠で、中編小説ぐらいのまとまりはあったかな。ただ発見はなかった。あと50年代の小説が原作らしいんだけど、舞台を現代日本に変えてるのね。それもあまりうまくいってなかった。例えば昭和の前半とか、少し昔のほうが良かったと思うね。


まず「小人の暮らしってけっこう楽しそうじゃん! 憧れるなぁ」っていうシーンがほとんどない。そのシーンがないのに「人間に存在を気づかれてしまい、隠れ家を引っ越さないといけない」という風に物語が進行するんだけど、どうやら他の小人はゼロじゃないにせよ、もう絶滅に近いかも?みたいな推測が浮上してくる。そして家政婦がいたずらに小人たちを迫害し続ける。そういうストレスフルな環境なのに、それでも小人を応援したくなるような希望を感じさせるシーンがない。小人的には「引越しとかめんどくせえなー、人間の住処と食べ物をテキトーに盗みながら、死ぬまで楽に暮らしていたかったのになー」ってところから一歩も踏みでないのが、まぁ、面白くないというか。何が言いたいのかわからなかった。要するに出オチっぽいんだな。


アリエッティ一家の他には、なんか原始人みたいな、ヤジロベーみたいな小人がひとりだけでてくるんだけど、それも海外だと差別に捉えられかねない感じで、「あちゃー」と思った。


細かいところではスケール感が時々分からなくなる時があって、アリエッティの髪を止めている洗濯バサミは、どう考えても洗濯バサミのサイズじゃないよね?とか。家政婦に捕まるときの手の大きさと小人の大きさは他のシーンに比べるとずいぶん極端だよねとか。アリエッティたちが着ている服の厚みは、人間をそのまま縮小したときの厚みになっているけど、誰が作ってるんだろうか?とかそういうことも結構気になった。


でもね、と続けたいんだけど、スタジオとしてのジブリの課題として「宮崎駿抜きで、中くらいの作品をきちんと作れる環境を育てる」ってのは、すごく必要なことだったんだろうな、と。そしてその課題は脚本以外の点でクリアできたんじゃないかと思うね。絵かきが監督なだけあって、背景美術のこだわりはものすごいなと思ったよ。