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映画「カールじいさんの空飛ぶ家」

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老夫婦が年を取って妻を失って、生前叶えられなかった冒険の旅に出る話です。


こりゃ大人をがっつり泣かせにくるな、と思いましたし、公開当時のレビューも「開始10分で涙腺決壊」みたいなものばっかりだったんで、来るか来るかと待ち構えていたんですが、観終わってみればフツーにしっかりと冒険映画でした。おじいさんが主人公なのに、スパイ映画かと思うようなアクションシーンもふんだんでびっくり。トイストーリー3もそうだったけど、アクション映画として成立させておかないと作ってて不安、みたいな義務感でもあるのかな。泣かせる話が好きじゃない人や飽きやすい子供向けの対策なのかもしれないですけど。


もう一つびっくりしたのは、邦題にもなっている「空飛ぶ家」のシーンが超短いことです。風船で飛ぶ家なんてすごいキャッチーでドリーミーなのに、20分も経たないで空飛ぶシーンは終わってて、しかも幻の滝の目の前にもういるっていう。「え? うそでしょ?」って声を出して言ってしまいました。


でも意外だったのはその2点ぐらいで、映画として出来が悪いかというとそんなことはなく、ピクサーは世界に名だたるスタジオとしての基礎力を着実に積み上げてるな、とか、何故か上から目線の感想を持ちました。


よかったと感じたのは、冒険に同行するボーイスカウトのパーソナリティーです。デブでドジなだけのどんくさい子供、という入りから考えられないような背景を背負ってることが、不器用な老人との旅の中で徐々に明かされていきます。その点がこの話の一番の醍醐味だったように思います。


「UP」というシンプルな原題と、冒頭10分のすばらしい無声アニメに、きっと「天国(UP)にいる奥さんに再び近づいて(上昇して)いく」みたいな意味があるに違いないと思ったんですが、それはミスリードで「今生きている目の前の少年を応援する(CHEER UP)」方かもな、と勝手に深読みできた点も、気に入っているところです。