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たかなべが、ゲームやそれ以外の関心事を紹介します。

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アニメ「フリクリ」

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TV版のエヴァンゲリオンのあとに、GAINAXが手がけたオジリナルアニメーションで、全部で3時間の作品です。


話は特になくて、体裁上、物分りが良い冷めた小学生である少年が、得体の知れない20過ぎの怪しい女に出会って、オトナの階段を一段上がるという形を取っています。でもホントそれも付け足しという感じで。筋も意味も何も無い。各話の最後に入る次回予告も絵面以外では何も伝えていないし、ショートエッセイみたいなナレーションが入るだけです。


ただ、疾走感のある演出は今見てもすごいです。NHKの子供番組かと思うほど、めまぐるしくタッチやカットが変わって、それを煽るように、the pillowsの楽曲から切り貼りされたバンドサウンドがマッチしてます。多分こんなに大々的にひとつのバンドがサントラとして使われているアニメって初めてなんじゃないかな。いまいち垢抜けない1バンドだったthe pillowsは、この起用によって海外で非常に注目され、テキサスで凱旋ライブを行うなどの副次効果が生まれました。


キャラクターデザインはエヴァンゲリオン同様、貞本義行なんですが、巨大な目や厚い唇の書き方が安野モヨコを意識しているように見えます。


自称19歳の怪しい女、ハルコに何の脈絡もなくギターで頭をぶっ叩かれるたびに、少年の頭から何かロボットのようなものが生えてきて、それと戦ったりする。少年はそうした非日常に振り回されながら、元凶であるはずのハルコに惹かれて、少しずつ現実を見る目が変わっていく。むりやりモラトリアムものとして考えると、否応なしに自分の視点や立ち位置をずらしてしまう越権的な存在というのは欠かせないですね。


退屈な日常が退屈なままなのは、そういう越権的なものを、外部/他者に求めすぎてしまっているからかも知れないとも思います。この場合の「他者」というのは「他人」だけじゃなく「物語」なんかも含まれるかも知れないです。自分でできることを拡張していかないと伝えられることは増えないし、出会う人の数も限られていくので成長なんかできっこないんです。青春が明確に終わるときというのは、自分を貫く表現手段と、それを内省する確固たる他者を自分の中に持つ時なんじゃないかな。