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たかなべが、ゲームやそれ以外の関心事を紹介します。

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TV番組「デザインあ」

takanabe2011-04-04



「デザインあ」は、日常生活とデザイナー的思考がクロスするきっかけを体験させる番組です。「デザイナー的思考」とは何か。それは「まだ未解決の問題を発見(定義)し、美しく解決する心」のことだと僕は思います。


「問題発見」と「解決」は対になって初めてデザインと呼べます。特に工業デザインは、その仕組みをビジネスの中に分かりやすい形で取り込んだジャンルと言えます。それは時に「発明」であり、「技術進歩による革新」であり、時に「節約」であり、時に「温故知新」であり、時に「異文化のスライド」だったり、時に「役割のシンボライズ」だったりします。


私たちが普段何の気なしに触れている工業製品はすべて、いつか誰かがデザインしたものです。デザイナーという肩書きを経ていない商品でも、素材と形態を選別し組み合わせて決定した人は事実上のデザイナーです。電球や大学ノート、おむつや爪楊枝、パイプ椅子、味気なく当たり前のようにありふれているもの程、デザイナーは裏方にまわって息をひそめていないと、使い勝手は悪くなります。「◯◯プロデュース」だとか「designed by.◯◯」みたいなまずブランドありき名前ありきなものから、デサインの本質というのは一番遠いところにあります。僕は工業デザイナーの匿名性とその奥ゆかしさが非常に好きです。


「問題発見」と「解決」はそれぞれ必要とする才能が異なります。「問題発見」は観察力。「解決」には自分の理想を今のテクノロジーで実在化できるだけの技量と経験がいります。デザインで有名なアップルではここ10年以上コンセプトモデルをあえて発表していません。実際にユーザーの手に渡る商品自体に夢を盛り込みます。理想だけが美しくても「使ってほしい人に届かなければデザインとは言えない」ということを体現してるのだと思います。


デザインあ」の「あ」というのは、日常生活の中でその問題発見をしたときの「あ!」と、今まで無関係だと思った要素がある問題の解決策へ結びついた時の「あ!」の両方を端的に表した「あ」であると同時に、その50音の中で最初の1文字であることと、デザイン心の最初の1歩であることを懸けてるんじゃないかな。


音楽をコーネリアスが担当していて、映像のほとんどすべてにミニマルな音がキラキラと踊っています。デザインにそんなに興味がない人でも、なんか小洒落たPVだとかピタゴラスイッチを見るような感覚で見れます。皆さんも是非、週に一度の15分間を、デザイナー的思考を芽生えさせる心の体操に使ってみてください。オススメです。