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たかなべが、ゲームやそれ以外の関心事を紹介します。

  ラヴフール(www.lovefool.jp) 

映画「ゴールデンスランバー」

伊坂幸太郎の人気小説を映画化したものだそうです。


なんかいろんな映画やビデオの予告編集で繰り返し見すぎてしまって、「もう本編見なくてもよくね?」って気分になってしまい、ずっと見てなかったんですが、結果から言うと見てよかった!


お人好しな主人公が、何故か首相暗殺者に仕立て上げられて、あらぬ罪で国家権力から追われる、というストーリー。言ってみれば小説的であって映画的ではないリアリティです。アメリカ映画的なリアリティとも言えるかもしれません。逃亡中に関わった人たちとの信頼を深めていく点においても、僕が好きな映画「逃亡者」にもかなり似ている気がします。


大学時代の仲間と過ごした美しい時間を回想しながら、実際にその仲間たちが現在の主人公に手を伸ばしてくれます。顔を合わせることもなく、奇跡的なタイミングで! あの時のあの瞬間を共有した同士でしかわからない暗号的な思い出を使って、うまく話を転がしていくところはかなりの醍醐味です。


首相暗殺と国家の陰謀がどうこうみたいな話の主旋律よりも、そうやってばらまかれた小ネタの回収がとにかく小気味よく、面白い物語というのは結局のところ読者の関心が向かった方向をいかにズラして気持ちよく発散させてあげるかなのかもなという気もしてきます。サスペンス部分がフックでつかみなんだけど、実際には青春振り返りヒューマンドラマという構造です。だからサスペンス部分だけで綺麗な答えが欲しかった人には「ふざけんな!」って気持ちになるかもしれません。


仲間との絆や信頼がどうこうみたいな道徳的な部分は建前的すぎてと言うか、僕には割と余計なお世話で、ありそうでなさそうでやっぱり絶対ないんだけど、どっかにあってもいいと思うし、あって欲しいかもな、そんな風に、ストーリーテリングって言うのは人々の心の隙間を埋めてくれるんだと思います。