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たかなべが、ゲームやそれ以外の関心事を紹介します。

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コミック「東京怪童」望月ミネタロウ

脳に障害を持つ少年少女たちが暮らす施設の話です。僕らには見えないものが見えたり、感じないものを感じたりして独特の世界を生きています。建前を言えずに思ったことをそのまま全部口に出してはトラブルに巻き込まれる少年、ところかまわずエクスタシーに達してしまう少女、視覚に人間を認知できずに自分ひとりの世界を生きている少女、痛みを全く感じず自分をスーパーマンだと思い込む少年、10分前のことが覚えていられず常にメモを取っているけど、それが文字化けしたような意味を成さない内容の少年。


普通の感覚で言うと「異世界」的なものを、感情を廃した表現であえて冷静にフラットに書き込みます。エアコンの利いた清潔な部屋のような、管理された空気を感じます。僕らからは「異世界」に見えるものでも、彼らにとっては「日常」であるという温度差を描いているのでしょう。見える景色が違えば、目指すものも、求めるものも変わります。人と人の埋まらない悲しいギャップは障害の有無に関わらずそういうところに存在します。前提にしている景色の違いに「正しい」も「間違い」もないのですから、「他人と分かり合う」ことの難しさだけが大きくそこに横たわります。


1巻と2巻が壮大に広がっていく話だったので、じっくりと5,6巻で終わるのを期待してたら、3巻でまさかの完結をしちゃったので非常にびっくり&がっかりです。確実に打ち切りでしょう。僕が目をキラキラさせて興味を持つものは大抵そういう憂き目に遭うので、もう慣れました。(半泣き)


おそらくその障害のその組み合わせでしか描けない物語がこの後展開したはずなんですが、劇中劇である絵本の話で終わってしまったのがすごい残念です。未完の名作と言えると思います。