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映画「フラガール」

DVDで映画「フラガール」を観ました。炭鉱で食えなくなり始めた村が、温泉を活かしてハワイアンセンターを作り、村の娘たちをフラダンスを見世物にできるように特訓して、再興に成功するという話。村興し→突貫工事の努力→成功、という仕組みとしては「ブラス!」なんかがほぼ同じ構造だし、他のスポーツやバンド、ダンスものでも似たような話は昔から無数にある。フラガールの場合はテンポ感重視で、群像劇としての個々の掘り下げよりも、対立していた村の人たちが徐々に同じベクトルに揃っていく様に重点が置かれている気がした。だから非常にさらっとした語り口で観やすい。村の中には近代化に対する様々な葛藤やぶつかり合いが描かれるんだけど、サラダプレートを食べてるように口当たりがよく、つまりあまり深みは感じない。「69」と同じ監督だと知っていれば、当然のことかもしれない。

そんな中でダンスを教えに東京からやってきた松雪泰子の枯れ具合が映画に一本芯を通していてよかった。脚本に書かれていない大事な部分が、彼女のたたずまいで想像できる存在感があった。ダンスも相当練習したんだろうなって言う気迫が感じられた。生徒側の主役として蒼井優がいるんだけども、カメラの構図が彼女中心だけのみならず、アップがあまりに多すぎて、しかも他の登場人物に比べて、挫折も葛藤も大したことがないのに、扱いが明らかに別格過ぎて、違和感を感じました(蒼井優は好きだけどね)。誘ってくれたのに、父親の理解を得られずにデビュー前日に挫折するもう一人の女の子と、蒼井優の役は一人にまとめたほうが、物語としてはカタルシスがあった気がする。静ちゃんは、期待したほど活躍してなくて、フツーに不幸でダメな静ちゃんだった。配役は豪華だし、なんとなくハッピー感じにしてくれるしで、日曜日に家族でぼんやり見る映画としてはいいのかもしれない。でもたぶん僕は感動させようと作られた話より、一人一人がこんなにも真剣に生きようとした姿ってのを物語りに求めるタイプなんだと思う。72点。