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 映画「ハウルの動く城」

takanabe2004-11-29



ハウルの動く城」を観て来た。カナ様は相当嫌がってたけど。でも僕は満足して帰ってきた。なんだろうなー。物語の積み上げ方としてははっきりと破綻してた。ラブストーリー風にまとめた振りをしてるけど、全然そういう構成になってない。でもいい感じだった。表現が最近の作品に比べてバブリーじゃなくてつるんとしてる感じが好感が持てたのかも。力技(=金)で見せてるシーンがなくて、好きで作りたいシーンを作ってつないで、パッケージとして物語にするためのキーになるセリフを最後にいくつかちりばめたけど、構成の中から生まれた必然性のあるセリフじゃないのでそれが機能してない、って感じ?


誰が何のために戦争しているかも分からなければ、ソフィーがおばあさんになってしまう呪いをかけられる必然性もないし、おばあさんでないと困る物語にもなってないし、城が動く必要もないし、城がいびつで醜くて、ハウルがホストみたいな美男子、ヒロインが醜いおばあさんであることの対比もない。そこまで思ったらフツー観ていてがっくりくるはずなんだけど、なんかつるんと観れた。むしろ楽しかった。こういう言い方がいいかわからないけど、なんかすれてないというか、いい意味で計算してない感じが伝わってきた。その素直さが僕には心地いいのかもしれない。


つかそもそも僕はみんなが言うほど宮崎駿の作品がいいと思ったこともないし、技術的にすげーと思っても感情移入できたキャラクターがいたためしなんかないんだよね。


良かったとはっきり感じたのはソフィーが他のキャラクターにする気遣いかな。マルクルハウルも荒地の魔法使いもカルシファー(炎)も、外見はいろいろだけど中身はみんな子供じゃん。そこに対してのソフィーの立ち回りがすごくやさしくて好きだ。宮崎作品では純粋さだけを武器にしない初めてのヒロインだったんじゃないの?って思った。ナウシカクラリスとか女として大っ嫌いだもん。千尋は見た目がブスでかわいかったけど、中身はやっぱ純粋系だったよね。純粋系は根拠もなく自分が正義だと思う作りになっているから、感情移入できないんだよね。ソフィーも最後の15分は結局純粋系に戻って物語に組み込まれる感じにまとめられちゃった点は残念だけどね。


でも全般的になんか今回はよかった。予告編やコピーが全然売る気を感じさせないのは、売るための商品としてのメッセージが作品の中で言い切れてないからだと思う。観終わってみても、予告編向きのキャッチーな絵面はないし、テーマも散文的。だけど、引退まであと何作も作らないであろう巨匠が、作品のテーマを決めずにこういうのを作りたかった(あるいは作っちゃった)っていう心情は、なんか表現の領域として一段階上のクラスに上がった感じがしたんだよね。


雰囲気で言えば「ターンエーガンダム」の1〜2話の流れとかが好きな人にはこの楽しい感じが分かると思うよ。カナ様の採点は50点でした。俺的には78点。