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たかなべが、ゲームやそれ以外の関心事を紹介します。

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"裏"日本工業新聞!!

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 同じオタクのガジェットをアートのフィールドへと引きずり込んでは受けを取ろーとしているにも関わらず、村上隆さんに比べて「風の谷のナウシカ」に出てくる「メーヴェ」を作ってしまおうってしている八谷和彦さんへのオタクな世界からの反発があんまり聞こえてこないのは、単にまだあんまり知られていないだけって可能性はそれとして、「メーヴェ」ってものを八谷さんがそのまま再現しよーとしていることに、何らかのリスペクトを感じて知らず同意してしまっているから、ってことがあるのかないのか興味深いところ、だったりする。


 もちろん村上さんだって、オタクが惚れ込む表象なり形質のエッセンスへの激しいリスペクトから、ああいった作品群を作り出しては来たんだけど、その手つき言動がどうにも誤解されやすいのか、オタク好みの要素を引っ張り出しては「手前らこんなのが好きなのか」って感じでカリカチュアライズして見せているよーに取られてしまうのが不幸なところ。オタクの力でアートを変えるんだ、ってなスローガンのどことなく運動臭い部分も、対象にはとことんまで迫っても連帯して運動することにはあんまり興味を持たない人からうさんくさく思われてしまうのかもしれない。


 その点八谷さんの「オープンスカイ」プロジェクトは、「ナウシカ」を見て惚れ込んだその機体を、形もそのままに現在あるテクノロジーで作っちゃおうってゆー単純きわまりない動機だからわかりやすいし、アートがどうしたって御託もあんまり言わないから反発も招かない。見ている方もアートってよりはむしろホビーの一種と捉えている節があって、眼差しとして八谷さんの活動にあんまりネガティブな要素を差し挟まない。もしかしたら阿蘇山で見物に来ていた人も、他のラジコンプレーンと違う「アート」でなおかつ「宮崎駿」のアニメや漫画に出てくる「メーヴェ」とは気づかないまま、変わった形のラジコンが飛んでると思って見ていたのかもしれない。


 懸念があるとしたら、どんどんとマスコミが権威化しつつある宮崎駿さんの代表的な作品から題をとったってことで、文部科学省推奨にして経済産業省支援ってななま暖かい視線の中に八谷さんの作品も混ぜ込まれてしまわないかってことだけど、当人があんまりそーした”政治”を意識せず、飄々として作品に取り組んでいる節があるんで、完成してメディアが褒めそやすなり、事故を起こして「自称・メディアアーティストが宮崎監督の作品からパクって作った”作品”が事故を引き起こした」とニュース沙汰になっても、変わらず「メーヴェ」を完成させ、次に何やるのか分からないけど陸と来て空と来たら次は海だとばかりに実物大「サブマリン707」でも作るか、あるいはいっそ宇宙だと言って実物大「デススター」でも作って浮かすなり、飛ばすなりしてたりするのかも。個人的にはロボットブームの昨今でも、誰もやろーとしない「合体ロボット」に挑戦して欲しいけど、それも「ゲッター」みたくぐにゃぐにゃ曲がってくっつく奴に。