lovefool

たかなべが、ゲームやそれ以外の関心事を紹介します。

  ラヴフール(www.lovefool.jp) 

PS2「ポポロクロイス はじまりの冒険」

ごめん、オレいわゆるRPGが大嫌いだから、ひどいめの感想だと思ってちょうだい。


PS2になってからの最初のポポロクロイスだ。大きな違いはやっぱりキャラクターや背景がドット絵から立体になったってことでしょうか。他の作品はともかく、絵の温かな味わいが魅力の大半を占めていたポポロクロイスシリーズとしては相当思い切ったな、と言うか、実際のところ大丈夫なの?そんなことしちゃって、という感じだ。


開発はもうずっと昔から始まっていて、トゥーンシェイドと呼ばれる陰影をつけずに輪郭をつけてアニメっぽく見せる手法が、もうほんとに出始めの頃からやってる。多分3年前とかそんな昔だ。でも、発売が2002年6月発売になっちゃった。Xboxで「ジェットセットラジオフューチャー」も出たし、PS2の「ジョジョの奇妙な冒険」も完成に近づいていたし、ゲームキューブの「ゼルダの伝説」がE3というアメリカのイベントで発表になり、そのアニメ顔負けのずば抜けた表現力に、もう開いた口がふさがらなかった。


その時期から振り返ってしまうと、ポポロクロイスのアニメ表現は、先駆者だけあって、苦労も多かっただろうし、完成度もあまり高くない。少なくとも立体表現の新しい地平というような目新しさはない。キャラクターデザインはかなりかわいい。女の子受けしそうな柔らかな感じが、本庄まなみのCMともあいまって売りになっているけど、トゥーンシェイドじゃなきゃこの作品は困るってほどぴったりな表現かというと、あまりそのデフォルメ感っていうのは伝わってこない。フツーに立体、って感じ。背景もちょっとドライすぎる気がします。


まずとにかく読み込みの回数と時間が多すぎる。部屋から部屋の移動の間にあるのはまだ分かる。ひどいのが戦闘だ。まず敵に出会うと、画面の中央がねじれて暗転。続いて背景をゆっくりカメラが俯瞰する。これが5秒。その次に敵と主人公が向かい合う。すばやさを表わすバーが伸びるのを待って、行動を選択。するとまた暗転。1秒未満だけど真っ暗になる。特別な魔法を選んだならわかる。でも通常の「攻撃」で暗転。敵の攻撃時も同じように暗転。要するに順番が回ってくる数だけ暗転が起こるわけです。信じられない。


カメラが不親切。ポポロクロイスのメインターゲット層は、普段ゲームに興味がない女の子、主婦、子供たちなんだろうと思う。だからこそ、戦闘に戦略性はいらないし、ダンジョンのパズル要素は、普段ゲームを遊ぶ人にとっては馬鹿にされているのかと思うくらいやさしいものだ。それはいい。でも自分で操作しているキャラクターが、どこを向いて、どこを見ているのか、カメラが不親切なせいで全然把握できない。LRボタンや右のアナログスティックでカメラを左右に回すことはできても、カメラを引いて俯瞰にできない。これがものすごいストレス。このカメラのせいでアイテムや出口を見失いまくることはゲーム慣れしている人たちでも必至です。これに加えて、マップがまったく機能していないのもやばい。セレクトボタンで出すマップは、今いる地方の名前ぐらいしか表示してくれない。レーダーまで行くと大げさだけど、オートマッピング+もう探索が済んだマーク、ぐらいは必要だった気がする。カナなんか発売日に買ったくせに、10分で酔ったとか言って、2度と手をつけてないもんね。


装備などのシステムやメニュー周りが不親切。買ったものは「装備」しないと機能しないっていうことをゲーム中に教えてくれない。新しい武器を買ったときも、武器やで買ったときと同時に着替えさせてもらえない。武器は買ったら「装備する」に決まっているだろうっていうRPGの文法を当たり前だと思っているその発想は危険だと思う。でも装備を変えるとちゃんと見た目も変わるのはなかなか素敵だと思う。同様に、フィールドに出ると出てくるモンスター達と何の迷いもなく戦う主人公やその仲間という構図も、もう少し説明が欲しい。特にモンスターも悪役っぽいデザインもものは少ないし、襲ってくるのを仕方なく正当防衛しているというよりは、出会った人間以外の生き物に対して、こちらから襲いに行ってるような気もする。「敵」という役回りだからやっつけるっていうのはあまりに幼稚な表現だと思うんだよね。特にポポロクロイスは「やさしさ」を伝えたいゲームなんでしょ?


というわけで、僕には作り手の作品に対する愛情よりも「都合」の方がどーんと前に出てきてしまったつらい作品だと受け止めるほかありませんでした。ほのぼのしたくて遊んだのに逆にイライラさせられた感じ。気に入ったところは主人公のピノンの前髪の揺れ方や、ムービーのときの目の表情かな。これはなかなか色気を感じました。テキストもオタクっぽくない普通の日本語で、好感触でした。あとこの作品に限らず戦闘がかったるい僕にはオートモードがついていることが大変ありがたかったです。