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たかなべが、ゲームやそれ以外の関心事を紹介します。

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妄想レストラン「極未来設計図」


美味しいものを食べるとやさしくなれる。好きな娘に改めて好きって言われるようなそんな気持ち。ぐったり疲れた雨の日に、すげえ適当な時間にとるディナーは贅沢だな。静かで控えめの照明の広ーい店内にはお客さんと同じくらいのウエイターとウエイトレスがいて、絶えずサービスの目を光らせています。パーカーに大きなヘッドフォン&一眼レフカメラ、ついでに寝癖までついた僕でさえ丁重に扱ってくれるので、ちょっとわがままな王子様風味。多分エステとかに通う気持ちもこれに近いんだろう。


メニューは素敵な時間と自分をつなぐ大事なインターフェイスなので、一品一品にくまなく目を通します。甘いもの、辛いもの、乾いたもの、水っぽいもの、赤いもの、白いもの。そして頭の中ではっきりとその順番をイメージする。目の前の白いテーブルクロスをどう彩るかっていう極近未来の設計図。それもわがままだらけの超完璧主義。


まずは食欲を奮い起こさせる意味でマリネ系のものを。プロシュートとタコの入ったサラダに、きつめのイタリアンドレッシングを振ったもの。その酸味で胃がゆっくりと動き始めたところに、ガーリックトーストを迎えよう。香ばしい匂い、カリッと焼き上げたバケットを顎を使って噛みしめるうちに、もう体勢は完全に食事モードになっているはず。ストレートティで口を潤す間もなく、キッチンからは豊穣な海の匂いの湯気を放ちながら、トマトソースのリゾットがやってきます。溶けたチーズとライスから飛び出した海老やイカやあさりのちょっと苦いくらいのハーモニーが一層の食欲をそそるでしょう。そして今回のメインとも言えるスペシャルなメニューも同時に用意してもらいます。桃のピザ。甘いタルト系のデザートピザとして、本来ケーキなんかの代わりに用意されたメニューですが、適度な甘みで今までのメニューのテイストの違いをよりくっきりと引き立てるのです。テーブルマナーなんかはいらないよ。自分が一番美味しいと思う食べ方で食べましょう。そして満足して食べ終わったら、ちゃんとごちそうさま、おいしかったですって店の人に言おう。


それらを過ぎた僕たちはきっとこのメニューを開く前よりずっとずっと何かを共有できてるはず。電話や手紙だけじゃ埋められなかった何かを満腹感とともにそっとしまい込んだはず。食事は小さなセックスだとまでは言わないにしても、やっぱり大事な人と過ごしたい時間にはかわりない。