lovefool

たかなべが、ゲームやそれ以外の関心事を紹介します。

  ラヴフール(www.lovefool.jp) 

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takanabe1998-09-26



僕がホームページを始めたのは去年の10月12日だったので、もうすぐでちょうど一周年ということになりますね。最初のうちは砂漠の果てに構えた小さな店のようなこのページに、いつ誰が来てくれるのかすげえ不安だった。一日に5人も来れば手を叩いて喜んだものです。みんな知人だったけどね。


それが一年も経たない間にどうよ。1万人とか超えちゃってるじゃないの。すっげ。その上、今日は多分12345人目を突破したりする日なはずです。うわーい。いやいやホントみなさんのおかげですよ。毎日うれしかったり、励まされたり、このページがなければ出会えなかった掛け替えのない友達までできたりして、なんかすごい一年だったなぁ。


前のページで約束していた「オリジナル小説100本」とか、まだ27作目で止まったままですけど、月に2本ぐらいのペースでホントは続けたいね。あの頃は毎週一本書いていて、それを楽しみにしている人たちのカウントがわずかでも目に見えてうれしかった。その頃からのお客さんってまだ見てくれてるのかな。


ひょっとしたら仮想かも知れないこの華奢であやふやな電子世界で、ただ一つだけ信じられるのは「いつかの誰かの気持ちに触れた自分の、その日その時」っていう小さな小さな時間のねじれで、そこにおこった出来事にわずかにでも感じる何かがあったとすれば、例えお互いのカラダがそばになくたってすごい出会いだよなぁと思います。会ったこともないのに何度も書き込みに来てくれる人たちとかね、不思議だしとても特別。大事にしたいなぁと思いますよ。ホンの一瞬でも僕のことを考えてくれた、世界中でも貴重な人たちだと思うから。


いつまでこのページが続いていくのか、続けていけるのかはわからないけど、時々は飽きたり、別のモノに生まれ変わったりしながら、何らかの形でこういう場所を残しておきたい。作品とかを残すような気持ちじゃなくて、掛け替えのない場所として。初めてできた僕だけのわがまま王国だからね。自由にのびのびとやっていきます。今は愛を大事にね。えへへ。

スーパーマリオブラザーズ(ファミコン)


ファミコンの名を日本中に轟かせたこの代表的テレビゲームソフトが、今回のリコメンド。だってこないだ初めてクリアしたんだもん。うれしくてつい、ね。


この社会現象までも起こしたジャンプアクションゲームは、ディレクターの宮本茂も言うようにナムコの「パックランド」の影響を色濃く受けている。海山空を駆ける大冒険、それまでのビデオゲームとは比較にならないほどグラフィカルな画面デザイン、不思議な奇跡に溢れた魔法の国のような世界観、誰にでもすぐに覚えられて口ずさみたくなるうきうきした音楽。後発であり、そのすべての特徴を踏襲したこの作品が後に横スクロールアクションゲームのスタンダードとして広く認められたのは、他のどのゲームにもない魅力があったからに他ならない。その魅力をこれから説明してみよう。


ゲームをスタートする。向こうから悪そうな顔をしたキノコが歩いてくる。マリオはジャンプして、キノコを踏みつけてやっつける。その時の反動でカラダがちょっと浮くでしょ? そこにこのゲームの魅力の大事な部分が詰まっている!と僕は言いたい。


ひとり目のキノコをやっつけたマリオは緑色の土管の向こうに二匹ならんだキノコたちを見るだろう。怖々とジャンプしてみる。二匹の間にはまってしまって、ショックで飛び上がるマリオ。もう一回やり直し。でも何度か失敗を繰り返すうちに、遠くから勢いをつけてジャンプすると、一匹目を踏みつけた反動を利用して二匹目も同時にやっつけられることに気づくだろう。その時に現れるマリオの音楽的とも言える軽快な動きが、このゲームの爽快感を生み出しているんじゃないだろうか。


裏返したカメの甲羅を蹴って滑らせながらそのあとを駆け足で追っかけていくと、ずっと敵をやっつけながら進んでいくことができる。その時の敵はまるで楽譜の上の音符のように列んでいて、やっつけるポコポコっていう可愛い音と共に弾んでゆくような気持ちになるのを感じる。階段状に列んだブロックを勢いつけて2回で飛び越えたり、10数回突き上げることができるコインの入った不思議なブロックも、まるでプレイヤーに与えられた楽器のようにリズム感を要求される。この音楽性を伴うリズム感の設計こそ、手元の小さなボタンと画面の向こうをがっちりとつなぐ大事なキーワードだろう。操作が上達したときに見せるマリオのダンサーのように軽やかな動きは、操作が単純で明解な分だけ美しく見えたものだ。


僕はこの後あまり熱心ではなかったにせよ、いくつかの名作と呼ばれるゲームに出会い、それなりの感動を呼んだりするんだけど、「音楽性」というキーワードひとつをとって言うなら、このマリオの純粋な続編である「スーパーマリオ64」(ニンテンドウ64)でさえ、超えることはできなかったと思う。(64は64で別の革命的すごさがあってメダルを120枚完全に集めたりもしたけどね)。そして90年代に入ってから長く続いたゲームの不作の時代。画質音質の向上、シミュレーターとしての現実世界の模倣(ヴァーチャル・リアリティ)、メッセージ性の多様化の中で、ゲームが本来持っていた「簡単に」「誰もが始められて」「誰もがうまくなれる」っていうポップ感、そして気持ちよくボタンを押すっていう「音楽性」は、ちょっと忘れちゃってたメーカーが多かったように思う。


13年前のゲームであるはずの「スーパーマリオブラザーズ」は、そんな僕や本来ゲームなんかどうでもよかったはずのみんなを、テレビの前に釘付けにした根本的な魅力が未だにぎゅっと詰まっていて、単に回顧主義じゃすまされない体験を僕にもたらしたのでした。押入に奥にあるならやってみて。