lovefool

たかなべが、ゲームやそれ以外の関心事を紹介します。

  ラヴフール(www.lovefool.jp) 

ありふれてない力


正月ボケがまだまだ抜けないたかなべです。このまま年末まで変わらずに行きそうだけれども。


週末、夜中に差し歯がポロっと抜けてしまった。前歯だ。感動的に情けなかった。慌てて歯医者の予約をしてもらったけど、会社を辞めたばかりで手元に保険証が(一時的に)ないことに気が付いた。なんとかうまくやってもらい、保険証の額でOKにしてもらった。差し歯が抜けたのをただ止めてくれるだけでいいって言ってるのに、あ、虫歯があるねとか言われて、麻酔をかけられ、がりがり削られて治療されてしまった。歯医者は5歳の子供に対しては敬語だったのに、29歳の僕には子供に話すようにしゃべった。神経をいじられて「痛い!」って顔をすると「あぁ、ごめんごめん、わるかったねー」とか言う。体を預けている医者には「ごめん」という台詞は言って欲しくない気がした。腕は確かな医者だったのでまだよかったけどね。


ナタリーが就職活動をしに東京にやってきた。スーツだ。スーツ姿を見ると、社会人になってから数えるほどしかスーツを着たことのない僕なんかは緊張してしまう。喫茶店で飯を食いながら「で、どうしてうちなの? 志望動機は?」とか聞きたくなった。家に来る途中、ファミコン屋に立ち寄ると「本日15時よりスマッシュブラザーズDXトーナメントを開始!優勝者には商品!」とか張り紙がしてあったので、さっそく申し込もうとしたら、目の前の5歳ぐらいの子供で打ち止めだった。仕方なく次回にエントリーしておいた。2月9日だ。「商品って何ですか?」と聞いたら「任天堂がよこした非売品」と言っていた。参加費無料なので商品がゲームソフトってはありえないにしてもなんかちょっといい感じかもしんない。この大会で解除しないと出てこないキャラクターのデータとかさ。ついでに泥棒に盗まれたままの「スーパーモンキーボール」も買いなおしてしまった。


夕方にマッキとけいちも遊びに来てくれた。夕飯は最近鍋ばっかりだったので、今日はカレーを作ることにした。トマトを入れるとおいしいとマッキがいったので、2個も入れた。出来上がってみんなで食べた。なんと言うか、土曜日のカレーらしいカレーというか、小学生が両親に作ってあげたようなそんなアットホームな味わいだった。マッキとけいちに無理やりお代わりを食わせた。


どうぶつの森+」でお互いの村を行き来したり、ロクヨン版の方もお互いの村を行き来した。久々に見たロクヨン版の画面はしょぼくてカクカクだった。ゲームキューブ版は秒間60フレームで描かれた絵なのだそうだ。そういうのって格闘ゲームとかレースゲームのような反射神経に訴えるゲームにしか意味がないと勝手に思っていたんだけど、そんなことはなかった。大違いだ。ロクヨン版のときに頭の中でいかにフレームレートを補正していたかが分かった。五感に関する欲求は、一度満たされるとまず前の状態には戻ることが出来ない。贅沢は敵だとは思わないけど、お金で買える贅沢は日ごろから控えめにしておいた方が、落ち込んでるときなんかに復帰するための感動に必要な資金や時間が少なくて済むかもしれない。そんなことを思った。貧しい発想ですまんけど。


翌朝、ナタリーを送ったあと、渋谷で壊れてしまった弁当箱を買い換えた。弁当箱には食欲をそそるような彩りはまったくデザインされていないことが分かった。サラリーマン向けと思われる弁当箱は機能性はさておき、黒や紺とかばっかりで、僕の感覚からすればあんまり食欲が湧くようなデザインではないのだった。結局鮮やかな黄色と白のプラスチックで出来たミッフィーのを買ってもらった。期せずしてカナとおそろいになってしまった。風邪気味で体がひどく重かった。途中、仕事の資料を探しにパルコブックセンターに行った。そこでソニーが始めたデザイナーガチャポンを見つけて、ついやってしまう。一番人気はグルーヴィジョンズだったけど、今更過ぎる気もしたので、ジェームス・ジャービスにした。まぁ、こっちだって今更なんですけど。ひとつ手に入れるともうきりがなくなって、1500円ぐらい投入。一個ダブっちゃったし、2個まだ足りないけどきりがないのでやめておいた。一回300円って1000円札を両替しても3回しかできないのはやっぱしんどいなーって思った。そばで見ていると両手いっぱいに小銭を用意した僕ぐらいの年の人が次々にやってくるのが印象的でした。あぁ、きっと会社の机の上に並べるんだろうなーって思うと途端にブルーな気持ちが押し寄せてきた。マリオアドバンス2の攻略本と、山本直樹の新作を買った。山本直樹のはビニールを開けてみて初めてエッセイだと分かった。何だよ、エロい新作が読みたかったのになぁ。


「ネコ」のジョージが来てくれる約束をしていたので、4時前に家に帰った。なかなか電話が掛かってこない。いつの間にか寝てしまった。目がさめたら6時近かった。何で電話が掛かってこないんだろうと考えていたら、僕のPHSは公衆電話からの着信が一切受けられないことに気が付いて顔面蒼白。ジョージは携帯電話を持っていないので「駅に着いたら電話してねー」とか、適当な約束をしてしまったのでした。慌てて駅まで自転車を漕いだ。駅まで来てくれたら僕が見つけてやる!って思った。30分ぐらいの間に、10回近い着信の履歴があったけど、つなぐことは出来ないし、掛けなおしも出来ずにストレスがたまった。ジョージの家に留守電を入れたり、他に方法がないか考えている間に、ジョージ以外の何者でもないシルエットを駅の構内に発見。いろんな公衆電話を渡り歩いて「おかしいな。どうして掛からないんだろう」って困っている最中だった。会えて良かった。


家に着いてRezを初体験させた。ゲームはあんまりやらないみたいだったけど、フツーに面白そうだった。みんなで鍋を食べた。駅でやっと見つけたときもそうだったけど今日初めて会った気がしないような溶け込みようだった。食べ終わってギターを弾いてくれた。オリジナル曲だ。柔らかなすごくいい曲だった。ありふれているようでいて誰にも似ていないと思った。そういうと「ありふれてるって感じのものをやりたいんです」とジョージが言った。それを聞いて「あぁ、この人は分かっている」と思った。表現を生業にしている人は「オリジナリティ」という言葉に脅迫されるように、とがった表現、過激な表現をしたがる。まるでテクニックがあるかのような小技に走りたがる。でもそんなのってすごくイージーだ。過激なものって、瞬発力ばかりで後に残らない。簡単に言えば耳障りだし、目障りだと思う。僕は最近特に「当たり前のものが持つ当たり前じゃない強さ」のことをよく考えるようになってきたので、ジョージの「とがった振りをしていない、やさしい表現」がとても心に響いた。ジョージの歌には背伸びもなければ、同人誌的な甘えもなくて、なんだかとても伸びやかに聴こえた。あんまり上手な言い方とは思えないけど「等身大」という言葉がよく似合った。今度、ベストアルバムのCDを焼いてプレゼントしてもらう約束をした。僕も触発されてしまい、表現のあれこれについて久々に熱く語ってしまった。ジョージが帰ってから、ジョージの彼女ってどんな人だろうって思った。全然想像がつかなかった。案外、銀行員タイプだったりして。