ファーストフルアルバムを出してから、3年ものインターバルを経てしまう新人というのはフツーありえないものだと思うんです。単純にその存在を忘れられてしまうでしょうし、やりたいこと、世に知らしめたいことで溢れている時期なはずです。
でも3年空いちゃった。しかも復帰曲はニコニコ動画からアップして、お知らせとして、バンド形式の解散を伝えちゃったりしました。これからは佐藤純一のソロユニットとして再スタートだそうです。
全7曲の今作は、2曲がインターミッション的なインストであり、実質5曲のミニアルバムといった感じの控えめなボリュームです。しかし音楽としてふわふわキラキラしていた前2作とは異なり、はっきりとした意志を持った前向きで強い音の羅列に確かな「TRANSIT」(移ろい、変化)や成長を感じずにはいられません。
正直僕は、初音ミクとかあんまり好きじゃないんですが、佐藤純一はボーカルに初音ミクを据えた新曲も今回発表しています(アルバム未収録)。インタビューでも独特のネット観を熱く語っています。
コンテンツ業界は、パッケージ販売でのビジネスの在り方に大きな変化を迫られている2011年ではありますが、佐藤純一が音楽を通じて放つであろう次の一手に向けて、最初の布石を感じさせる、そんなアルバムだと思います。