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PS3「ブラザーズ:2人の息子の物語」

takanabe2014-02-10


ダウンロードゲームの「ブラザーズ:2人の息子の物語」(Brothers -a Tale of Two Sons-)を紹介します。PS3のダウンロードソフトで1500円です。

事故で母親を亡くした家族の、残された父が病気になり、幼い兄弟が「命の水」を求め冒険します。

コントローラの2本のスティックの、左で兄貴、右で弟を操作します。アクションボタンはそれぞれL2、R2です。兄弟を同時に操作したり、代わる代わる操作したり、兄でしか解けない謎、弟でしか解けない謎があったりで、これがなかなか面白いのです。

アクションアドベンチャーを作ると、ひとつのギミック(仕掛け)に対してそこそこ難しく作るのがフツーです。というのも新しいギミックを作って、誰の目にもいい感じに仕上げるのはけっこうというかかなり手間なので、掛けた手間分、じっくり時間を費やして欲しいという意識が働くからです。あるいは同じギミックの元を取ろうと、何度も別のステージで繰り返し使われたりします。

でもブラザーズは違う。ずーっと1本道のマップも使い捨てですし、ギミックも次から次へ惜しげなくどんどん使い捨てます。しかもゲーム的な難しさはなく、僕のプレイで言えば、意味をうまく理解できなくて時間を費やしてしまったシーンは、歯車を手に持って崖を飛び越えられなかったシーン一つだけです。つまり、1度見ただけですべての謎がクリアできるぐらいの調整がされているということです。言ってしまうとクリアまで2時間〜3時間です。短い! なのに、ギミックの投入量がパッケージゲームと変わらないか、むしろ多いくらいです。

つまり値段やプレイ時間に対しての、手間の掛け方がぶっ壊れているというくらいに多いということです。同じ作り手目線からすると「すげー! よく出来るなそんなこと!」という感嘆の気持ちと、「これ以降のアクションアドベンチャー作品は1500円以下にするか、これ以上のギミックをつめ込まないといけないのか…」という恐怖が交じり合った気持ちにもなります。

世界観も、グリム童話的というか、ちょっと絵本のような不思議でちょっと不気味なサブキャラクターたちが次々に現れて、それでいてなんでそれが必要なのかはよくわからないままなんですが、バラエティに飛んだ体験であったことには間違いがなく、ICOなどに並ぶ「男と女の逃避行ゲーム」とは違う、男兄弟ならではの、馬鹿さ(稚拙さ)、無謀さ、遠慮のなさ、みたいな表現も新鮮です。僕は叙情的なゲームのほうがハマる方ですが、これはこれでアリだし個性だったなとプレイ後強く思いました。

そう、終盤、男兄弟として冒険をしてきたことの意味というのが、強く強くその心に刻み込まれることになるわけです。両手で兄弟を同時にプレイしないといけなかったことの意味。二人でしか到達できなかったことへの意味。映画を見るほどの時間でがっつりと経験が手と眼と心に刻み込まれたプレイヤーは、感動とともにそのエンディングを迎えることになります。

感動に訴えるゲームは古今東西少なくないと思いますが、特に言葉による感動を廃したブラザーズは、1ランク格が上だと感じます。そういう意味でも絵本的という表現は的外れではない気がします。1500円という安価と、つめ込まれたギミック量、そして2時間前後の圧縮された体験がそのエンディングに向かっていく時、あー、PS2の頃のゲームってこんなだったわー。って過去のゲーム体験をダイジェストされているようなそんな不思議にな気持ちになりました。