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映画「ゼログラビティ」

前世紀に生まれた僕らは、宇宙に対して明らかに夢と希望を持っていたと思います。でもそれは観光的な意味合いで言ってることがほとんどで、もし遭難したらなんてことを想定している人はなかなかいません。この映画はその悪夢の方のシミュレーションというべきストーリーです。

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上も下もない世界で命綱もなく、虚空へ放り出される新米女博士のサンドラ・ブロック。減らず口ばっか叩いているイケメンベテラン上司のジョージ・クルーニー。物語にはほぼこの二人しか出てきません。


酸素も残り10分しかない状態で遭難が始まり「おいおい90分の映画でどうやって助かるんだよ! まさか10分を9倍の長さに演出するの?」と思いましたが、そんなことはなく、それでもハラハラドキドキが止まらない90分なので、たっぷり買い込んだポップコーンもフライドポテトもコーラも、ほとんど手付かずのまま映画が終わってしまいました。ジーンズのもものところが緊張による手汗でびっちょりです。


3Dで字幕だと存分に映像を楽しめない、と、吹き替え版3Dを探して遠出したのが良かったようです。思う存分宇宙の無重力感やつかまるものが何もない不安感、恐怖感を味わうことが出来ました。今まで3D映画を5本見ましたが、今までの3D映画の3D部分がおまけ的な扱いだったように感じるほど、3Dならでは感が強く感じられました。


中でも、漂う宇宙ゴミの中をカメラがくぐり抜けたり、無重力の宇宙基地内のトンネル状の通路をくぐり抜けたりするシーンの実在感はすごかったです。画面から映像が飛び出ているわけではないのですが、レースゲームをしてハンドリングに合わせて体が傾いてしまう人みたいに、何度も自然に体で避けようとしてしまいました。


カメラワークも無重力ならではの、地面を感じさせない立体的なパスを描いており、客観から主観へスムースにつながるカメラにはとにかく唸らされますし、カメラの動きも立体的なら、映る対象も立体的な動きをするので、本当に宇宙体感アトラクションに乗ってる気分です。しかも90分ぶっ続けですしね。


音楽もやや饒舌な部分がありながらも、アトラクション感としては最高な盛り上がりで、椅子を揺らすほどの低音はやはり映画館ならではの体験だと言わざるを得ません。映画館によっては4DXという形式で、こちらは椅子自体も映像に合わせて揺れてくれるそうです。うちの近所には残念ながらありませんでしたが。


今後ブルーレイやら3D対応やらで映画館じゃないところで「ゼログラビティ」を楽しむ機会は増えてくると思うんですが、舞台劇やお化け屋敷をどんなにきれいなテレビで見ても体験したことにならないように、「ゼログラビティ」も映画館という装置込みで楽しんでほしいと思いますし、そういう体験をリアルタイムでできちゃう今、という時代を喜ぶべきだなーと思いました。


そして「宇宙飛行士になってみたいな」なんていう子供のあやふやな夢をぶち破ってくれるそのジェットコースター感は、ぜひとも一人じゃなく、気の合う人と体験してほしいと思います。