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映画「風立ちぬ」

takanabe2013-07-18



僕はジブリ映画がみんなほど好きじゃないので、これも見るつもりはなかったんですが、試写会に当たったので、みんなよりも早く、そしてただで見ることができました。わーい。

これ、ストレートに良かった。
あと、見ている自分がいい大人(おっさん)で良かった、と思いました。

予備知識なしで見れば、「一人のモノづくりのシンプルな生き方」ってことでまとまってますし、ありふれたラブストーリーとして見てもいい。

多分、20代前半以下で見てたら「空々しーなー」って思ったと思います。心象風景ばっかだし、戦闘機を作ってるくせに戦争とは無縁みたいに、戦闘シーンや戦争はバッサリカットされてるし。初恋=結婚みたいなのも都合良すぎるだろ!みたいな。

でも必要なのはゼロ戦を作った人、っていう歴史的な情報よりも、「残りの人生の生き方」っていうのを一度でも真剣に考えた人向けのお話なんじゃないか、と思いました。だから年配ほど評価が高まると思います。行間の情報を視聴者のそれぞれ人生が埋めていく感じ。

主演の声を、エヴァンゲリオン庵野監督が当てています。ファーストシーンこそ吹き出すほどの印象でしたが、終わってみるとこれも良かったな。

こっから先は僕の妄想なんですが、彼の起用には4つの理由があると思ったんです。

ひとつめは、意外な有名人が声を当てているという、ニュース性。
ふたつめは、主人公の役柄として、宮崎駿が自身を投影する対象として、自分が信頼を置ける第一線のクリエイターに演じて欲しかったということ。
みっつめは、主人公が天才肌過ぎて、心がいつも現実よりも半分飛行機側に人生を置いている夢追い人っぽい、非現実感を感じさせる声だということ。
よっつめは、クライマックスのセリフを師弟関係である庵野監督に、宮崎駿が師匠として強制的に言わせたかったんじゃないかってこと。(それはまるで継承の儀式のようでもあります)

まとめると、主人公の見た目には少しも合ってない声なんですが、主人公が持っているベクトル、宮崎駿が投影したい対象としてはバッチリ合ってた気がするなぁ、という感想です。

作品的には「ポニョ」も遺作っぽい匂いがありましたが、「ポニョ」の先に「風立ちぬ」を作れたことは、宮崎駿的にすごくすっきり納得できた体験だったんじゃないかとも思います。年下の僕が言うことじゃないけど「一皮むけた」感あります。バートン監督が「ビッグフィッシュ」を作れた時の感じにも似てます。

夏っぽい良い感じの色みや絵面だし、学校の課題図書っぽい読後感もあるし、ジブリに興味なくてもちゃんと楽しいので、オススメです。お金払ってもっかい見たいかも!