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たかなべが、ゲームやそれ以外の関心事を紹介します。

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映画「時をかける少女」

アニメ版はすでに名作の評価も高いので、今回は昨年実写化された方を紹介したいと思います。主役を仲里依紗が演じていて、彼女はアニメ版の主人公の声優も担当しています。同じ人が同じタイトルの映画の主人公を2度演じているわけです。演じる方も観る方にもめったに訪れない不思議な体験です。


ただ内容はけっこう別物です。原作とも違うし、アニメに比べると割と内容もスカスカなんですが、現代の女子高生役である仲里依紗っぽさという点では、あぁ、こういうリアリティもありかもな、と思わせる力があります。演技が上手い下手の話ではなく、そういう娘がどっかにいそうだな、というリアリティ。「大粒の涙を流しつつ照れ笑い」みたいなシーンが彼女にはとても似合うと思います。


多くのタイムスリップものは「やり直したい過去」「ないことにしたい未来」という誰の人生にもつきものの題材がifとして繰り広げられ、そして人は「今」を生きることしかできないという「運命」を受け入れる強さを身につけたところで物語は収束します。そこで受け止める「切なさ」は、モラトリアムの卒業そのものへの「切なさ」と重なるんだと思います。やり直しが効く若いうちだからこそ、タイムスリップものというお伽話は成り立つのかもしれません。オトナの代わりに女子高生がタイムスリップしてあげる本作はその点においてとても象徴的だと思います。